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(写真:年間賞金2億円突破は史上7人目の快挙)

 30日、東京・立川競輪場で「KEIRINグランプリ2016」が行われ、村上義弘(京都)が4年ぶり2度目の優勝を果たした。2着は2年前の王者・武田豊樹(茨城)、3着には昨年度覇者の浅井康太(三重)が入った。村上はGP賞金1億160万円を手に入れ、年間賞金総額は2億円を超えた。自身2度目の賞金王に輝いた。

 

「年々苦しい戦い。今年1年もファンの皆様に迷惑をかけ続けたと思う。最後にこういうレースを見せられて良かったです」

 村上は声を詰まらせながら優勝の喜びを語った。冬の寒空の中、駆け付けたファンの声援に何度も手を振って応えた。3月の日本選手権(名古屋ダービー)を制してから、なかなか勝てなかった。賞金こそ1億円を超えていたものの、勝率は21.2%と去年よりも落としていた。それだけに1年を締めくくるGPを優勝した喜びは格別だったのだろう。

 

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(写真:稲垣<左端>が先行し、村上<左から2番目>が番手につけた)

 レースでは村上がまず先手争いを制し、京都ラインを組む稲垣裕之を迎え入れた。稲垣―村上に続いて、岩津裕介(岡山)、浅井、平原康太(埼玉)が追いかける。「本当に積極的にいってくれた。稲垣が作ってくれた展開」と村上。1度は新田祐大(福島)や平原にかわされるが、ホームストレートで先頭を奪い返し、残り1周半を知らせるジャンが鳴らされても稲垣が引っ張った。

 

 バックストレートで仕掛けてきたのは1番人気の平原だ。「平原は日本一強い選手。見えた瞬間、咄嗟に前へいく選択をしました」。村上も思い切ってペダルを踏んだ。「平原のスピード、圧がすごかった。とにかく自分は無我夢中でゴールを目指した」と最後の直線まで先行した。

 

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(写真:最後の直線勝負。僅かな差で村上<右>が制した)

 今度は外から武田が猛追してきたが、村上は4分の1車輪差で逃げ切った。村上は「自分の力は他の8人に比べて脚力的に勝ってはいない。ただ速い人が勝つのではなく、自分は総合力で、速く走れなくても勝てるということを証明したかった」と胸を張った。

 

 10度目のGP出場。節目の1戦を見事勝利で飾った村上は「夢の中にいるようです」と表現した。来年に向けて「いくつになっても競輪は夢を与え、叶えてくれる。また新たに次の夢に向かってしっかり頑張っていきたい」と意気込む。苦しんだシーズンを笑顔で締めくくり、42歳のベテランは1番車のユニホームを背負う。

 

(文・写真/杉浦泰介)