1日、第61回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)が行われた。群馬県前橋市の県庁前を発着点とした7区間100キロのコースを制したのは旭化成。大会最多記録を更新する22回目の優勝を飾った。

 

 今年のニューイヤー駅伝は例年よりも暖かな上州路が舞台となった。1区は地元出身の戸田雅稀(日清食品グループ)が区間賞をとる快走を見せ、2区では14年大会で26人のごぼう抜きを果たしたビダン・カロキ(DeNA)が、今回も21位から18人抜きで3位に浮上するなど序盤からハイペースな展開となった。

 

 優勝候補のトヨタ、コニカミノルタらは序盤から順位を上げていったが、4強の一角と目されていた旭化成は、2区インターナショナル区間で外国人選手不在が響き20位と苦戦した。これを挽回したのが3区の大六野秀畝だった。大六野は11位にまで順位を上げて4区の市田孝にタスキをつないだ。
「もっと順位を上げたかったけど、とりあえず前が見えるところまでは追い上げて後ろに渡せたのがよかった」
 こう語る大六野の思いを受け取った市田孝は中盤から区間賞ペースの快走を見せて、話題のルーキー・神野大地(コニカミノルタ)をかわすなど3位にまで浮上。この後、旭化成の快進撃が始まった。

 

 市田孝からタスキを受けた5区の村山謙太も続けて区間賞をものにして、トヨタ、トヨタ自動車九州とのトップ争いを制して先頭に立った。トップでタスキを受けた6区の市田宏も区間新記録の36分32秒で2位のトヨタに50秒以上の差をつけた。

 

 最終区間7区を任された佐々木悟は途中、トヨタのアンカー・宮脇千博に差を詰められるシーンもあったが、後ろを振り返ることなく走りトップを守りきった。
「トップでタスキを受け取ったけど、自分がゴールテープを切るまでわからないので、早く終わってくれと祈りながら走っていました」
 ゴールまで残り700mの時点で初めて後ろを振り返った佐々木は、レース中の心境をこう語った。結局、2位トヨタに1分以上の大差をつける快勝で、旭化成が18年ぶりにニューイヤー駅伝を制した。

 

「これまで勝てずに悔しい思いをした分、今日はすごくうれしい。選手がひとりひとりが役割を果たしてくれたし、何よりも選手全員に故障がなくちゃんと仕上がったのが何よりも心強かった。17年間勝ってないから最後の最後までひやひやドキドキでした」
 チームを率いた西政幸監督の喜びの声からは最多タイの54回の出場記録を持つ名門チームの苦難の時代が忍ばれる。

 

■第61回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝2017)最終順位

(1) 旭化成 4時間49分55秒
(2) トヨタ +1分07秒
(3) トヨタ自動車九州
(4) MHPS(三菱日立パワーシステムズ長崎)
(5) コニカミノルタ
(6) 富士通
(7) DeNA
(8) 日清食品グループ
(9) 中国電力
(10) 日立物流
(11) Honda
(12) 安川電機
(13) 愛知製鋼
(14) 黒崎播磨
(15) マツダ
(16) 愛三工業
(17) カネボウ
(18) JR東日本
(19) トヨタ紡織
(20) ヤクルト
(21) NTT西日本
(22) 大塚製薬
(23) 八千代工業
(24) 小森コーポレーション
(25) NTN
(26) 九電工
(27) YKK
(28) SGホールディングスグループ
(29) プレス工業
(30) 中央発條
(31) SUBARU
(32) JFEスチール
(33) NDソフト
(34) トーエネック
(35) 西鉄
(36) セキノ興産
(37) 中電工