21日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第5戦が行なわれた。負ければ終わる巨人は2回に2点を先制したものの、中3日での先発となった内海哲也が5回にトニ・ブランコに2ランを浴び、同点とされた。しかし、最終回に1死満塁から代打・石井義人のタイムリーでサヨナラ勝ち。巨人は3連敗からの連勝で、アドバンテージの1勝をあわせて通算成績を3勝3敗のタイとした。

◇ファイナルステージ第5戦
 中日、8安打も主砲の一発のみ(巨人3勝3敗、東京ドーム)
中日   2 = 000020000
巨人   3 = 020000001×
勝利投手 マシソン(1勝0敗)
敗戦投手 岩瀬(0勝1敗1S)
本塁打  (中)ブランコ1号2ラン
 前日、ようやく今シリーズ初勝利をあげたものの、1敗も許されない崖っぷちの状態が続く巨人は、初戦で先発したエース内海哲也にこの大一番のマウンドを託した。その内海は初回、いきなりピンチを招いた。1死から荒木雅博の打球はボテボテのピッチャーゴロとなるも、これを内海が掴みそこね、荒木にとってはラッキーなヒットとなる。2死後には、ブランコ、和田一浩を2者連続の四球で出し、満塁としてしまう。しかし、ここは内海がエースの意地を見せた。ファイナルシリーズ打率6割3分6厘と当たっている森野将彦に対して厳しいコースを突き、最後は内角低めの変化球で空振り三振に切ってとった。

 2回表、中日に思わぬミスが出た。先頭の平田良介がヒットで出塁すると、1死後、山内壮馬の送りバントで二塁へ進んだ。そして、今シリーズ好調をキープしている大島洋平の打球は三遊間へ。これをショートの坂本勇人がグラブで止めるも、どこにも投げることができず、一、三塁オールセーフに。ところがホームを狙おうとしたのか、平田が三塁ベースから離れてしまった。これを坂本は見逃さなかった。すぐさま三塁へ送球し、タッチアウト。中日は初回に続いて先制のチャンスを逃した。

 ピンチのあとにチャンスあり――。その裏、今度は巨人にチャンスが巡ってきた。先頭の阿部慎之助が死球で出塁すると、高橋由伸がチーム初安打を放つ。さらに村田修一も死球で出塁し、無死満塁とした。ジョン・ボウカーは空振り三振に倒れるも、古城茂幸が高めに抜けたボールを左中間へ。2走者が返り、巨人は前日に続いて序盤で2点を先制した。

 一方、中日は3回表にも2死ながら二、三塁とチャンスをつくるも、森野がセンターフライに打ち取られた。11安打を放ちながら1度しかランナーをホームに返すことができなかった前日に続いて、この日も得点のチャンスにあと1本が出ない。

 そんな中日に4回裏、アクシデントが起こった。村田の痛烈な打球が山内の左足に当たり、山内はそのまま降板。マウンドには三瀬幸司が上がる。三瀬はボウカーにヒットを許すも、古城をキャッチャーフライに打ち取る。さらにキャッチャー谷繁が二塁へ送球し、飛び出していた二塁ランナー村田を刺した。三瀬は続く内海をピッチャーゴロに打ち取り、追加点を許さなかった。

 この三瀬の力投に打線が応えた。5回表、1死から井端弘和がヒットで出塁すると、打席にはここまで2打席連続で四球のブランコ。カウント2−2からの5球目、内海にとってはちょうど100球目となる真ん中高めのストレートをブランコは迷わずフルスイングすると、打球はライトスタンドへ飛び込んだ。ホームが遠かった中日だったが、主砲の一発で試合を振り出しに戻した。その後は、両軍ともにリリーバー陣の要所を締める好投で、追加点を許さない。2−2のまま試合は終盤へと入った。

 巨人は1番からの好打順となった8回裏、勝ち越しのチャンスをつくった。先頭の長野がこの試合初ヒットを放つと、松本哲也の送りバントで二塁へ進んだ。坂本は内野ゴロに倒れ、2死二塁で阿部を迎えた場面で中日はサウスポー高橋聡文をマウンドに上げた。その高橋聡に対し、阿部は痛烈な打球を一、二塁間へ飛ばした。これをファーストのブランコが必死にグラブに当てて止める。しかし、高橋聡のベースカバーが遅れ、阿部はセーフとなる。高橋聡は続く高橋由を四球で出し、満塁としてしまった。右の村田に対し、中日はそのまま高橋聡を続投させた。その高橋聡のストレートを村田がジャストミート。巨人に勝ち越し点が入るかと思われたが、これをライトの平田がスライディングキャッチし、この大ピンチを凌ぎきった。

 しかし、一難去ってまた一難。中日のピンチは続いた。9回裏、この回からマウンドに上がった岩瀬仁紀が代打・矢野謙次、古城に連打を浴び、無死一、二塁としてしまったのだ。ここで巨人は代打・寺内崇幸に送りバントをさせ、1死二、三塁とした。続く長野が敬遠され、満塁となって代打に谷佳知を送った。それを見て、中日は岩瀬から山井大介にスイッチした。すると、巨人は谷に代え、今季代打での打率が4割を超える石井義人を送った。1−2からの5球目、内角のストレートを石井がフルスイング。フラフラと上がった打球はレフトの前にポトリと落ちた。「代打の切り札」の一振りで、巨人がサヨナラ勝ち。これで通算成績を3勝3敗とタイに戻し、決着は明日の最終戦へと持ち込まれた。