上田哲之「永久欠番論」
所用で広島に来てみたら、スポーツ紙の一面を堂々と堂林翔太が飾っていたりする。
いわく<堂林豪弾 新井さん打法 今年は違うぞ~>(『日刊スポーツ』2月8日付)
いいなぁ。キャンプだなぁ。ついでに、ドラフト1位の加藤拓也も負けじと、<加藤 やっぱり大物>(『デイリースポーツ』2月8日付)。
もちろん、シーズンに入ってどうなるかは、別だ。しかし、2月はとにかく希望に向かっていけるからいい。
ところで、カープ関連のこのオフのニュースのスマッシュヒットは、黒田博樹の背番号15の永久欠番だと思う。メジャーリーグからの“一球の重み”復帰、2016年のリーグ優勝とともに、背番号15は永久に語り継がれるべきだ。
ただ、このニュースを聞いたとき、つくづく思ったことがある。14番も永久欠番にしておけばよかったのになぁ。
そう言うと、津田恒実かと思われるかもしれない。私の場合は外木場義郎です。
1975年の初優勝は、去年の優勝に勝るとも劣らない大きな出来事だった。打の立役者である山本浩二の8が永久欠番になるのはいわば当然である。国民栄誉賞の衣笠祥雄の3も当然だろう。初優勝のとき20勝した外木場の14にも、それと同等の価値がある、というのが持論である。ただ、球団は、なぜかそうしなかった。
その後、14番は片岡光宏、津田、鈴木健、澤崎俊和、梅原伸亮、篠田純平と引き継がれ、現在の大瀬良大地にいたる。この中では、やはり“炎のストッパー”津田は、その悲劇的な結末を含めて、きわめて印象深い。14番は津田のものでもあるのだ。
このたび日刊スポーツのHPで興味深いコラムを見つけた。
「四竃衛のメジャー徒然日記」(1月25日配信)である。
メジャーリーグ、シアトル・マリナーズの話なのだが、マリナーズは今年、球団創設40周年を記念して、エドガー・マルチネスの11を永久欠番にすると発表したそうだ。マリナーズではケン・グリフィー・ジュニアの24に続く2つ目の永久欠番だそうだ。面白いのはその後である。近い将来、51番も永久欠番になりそうだという。
マリナーズの51番は、私にとってはランディ・ジョンソンである。でも、多くの日本人にとってはイチローでしょうね。
さて、どっちの51なのか。四竃さんによると<2015年に野球殿堂入りしたジョンソンの場合、02年の世界一に貢献したダイヤモンドバックスでひと足早く永久欠番となりましたが、マ軍も検討していると言われています。今季もイチローは現役としてプレーしますが、将来的に引退した後、ジョンソンと2人そろって「51」を永久欠番にすると見られています>
そうか、その手があったのだ。
ぜひ、提案したい。14番を、外木場と津田の2人の共同永久欠番にしてはどうか。
大瀬良の気持ちをどうしてくれるんだ、という反論もあるだろう。しごく、もっともである。
でもね。私は思うのだ。大瀬良には球団を背負って立つ大エースになってもらいたい。まだ、そこまでの活躍をしているとはいえないだろう。
あえて別の背番号を背負って、その番号を永久欠番にするくらいの投手になってほしいではないか。誤解しないでいただきたいが、大瀬良には何の非もない。元々の不手際(と、あえて言わせていただく)は、外木場が引退しとき、14番を永久欠番にしなかった球団に端を発しているのだ。もう一度、球団の歴史を顕彰することも大事ではないか。
(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)