22日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第6戦が行なわれ、前日に続いて序盤で先制し、試合の主導権を握った巨人が、投手陣の継投で逃げ切った。これで通算成績はアドバンテージの1勝を含めて巨人4勝3敗となり、巨人が3年ぶり33度目の日本シリーズ進出を決めた。

◇ファイナルステージ第6戦
 寺内、チームを勢いに乗せる先制打(巨人4勝3敗、東京ドーム)
中日   2 = 000001001
巨人   4 = 03001000×
勝利投手 ホールトン(1勝1敗)
敗戦投手 伊藤(1勝1敗)
セーブ   西村(0勝1敗2S)
本塁打  (巨)村田2号ソロ
 泣いても笑っても、この試合で決着するセ・リーグのクライマックスシリーズ最終戦。3連敗から2連勝し、アドバンテージの1勝を合わせて3勝3敗とタイに戻した巨人。勝つか引き分けでも日本シリーズ進出が決定する巨人は、中3日のデニス・ホールトンに先発のマウンドを託した。そのホールトンは制球が定まらず、初回からいきなり2つの四球を出し、1死一、二塁とピンチを招いた。しかし、トニ・ブランコ、和田一浩と二者連続で三振に切って取り、なんとか切り抜けた。

 一方、中日も同じく中3日の伊藤準規を先発に立てた。第2戦では8回途中、4安打2失点の好投を披露した4年目、21歳の伊藤は、1、2番を簡単に打ち取った。しかし、坂本勇人にはファウルで粘られ、フルカウントからの10球目、アウトローのストレートが外れ、四球で出してしまう。それでも伊藤は、阿部慎之助をフォークで空振り三振に仕留め、まずまずの立ち上がりを見せた。

 中3日での登板で同じように体の重さが目立った両投手。その明暗が分かれたのは2回だった。ホールトンはまたも先頭打者を四球で出すも後続を抑え、得点を許さなかった。その裏、伊藤は高橋由伸、村田修一、古城茂幸と3連打を浴び、無死満塁としてしまう。そして続く寺内崇幸には落ち切らないフォークをレフトへ運ばれ、2点を失った。さらにホールトンに送りバントを決められると、長野にもタイムリーを浴びた。

 なおも1死三塁の場面、中日は早くも伊藤を諦め、2番手に2年目の武藤祐太を立てた。武藤は松本哲也、坂本を打ち取り、ピンチを切り抜けた。3回裏には3番手・三瀬幸司が四球とヒットで2死ながら満塁とするも、ホールトンを空振り三振に仕留め、追加点を許さなかった。

 流れを変えたい中日は、4回から早くも山井大介をマウンドに上げ、勝負に出た。しかし、山井は4回裏こそランナーを出しながらも無失点に抑えたものの、5回裏には村田に手痛い一発を浴びた。これが最後まで大きく響くことになる。

 一方、序盤は制球に苦しんだホールトンだったが、尻上がりに調子を上げていき、5回までわずか2安打と中日打線を封じた。巨人は6回表、そのホールトンを下げ、第4戦に先発し、連敗を食い止める力投を演じた澤村拓一にスイッチした。その澤村が1死からブランコに二塁打を打たれる。さらに阿部のパスボールで三進させてしまうと、続く和田を内野ゴロに打ち取るも、その間に1点を失った。

 7回表、中日はこの回からマウンドに上がった山口鉄也に対し、2死後、大島洋平が内野安打で出塁すると、荒木雅博もヒットで続き、この試合初の連打で得点のチャンスをつくった。しかし、井端弘和は山口の外角低めの変化球を打ち上げてしまい、ライトフライに倒れた。8回表も続投した山口に対し、ブランコ、和田、森野将彦の中軸が簡単に打ち取られ、中日は反撃することができない。

 そのまま3点リードで迎えた9回表、巨人は守護神の西村健太朗にマウンドを託した。日本シリーズの切符獲得まで、あとアウト3つ。しかし、なんとか一矢報いたい中日は先頭の代打・堂上直倫が初球のフォークを迷わず振り抜くと、打球は左中間を破り、二塁打となる。続く谷繁は内野ゴロに倒れるも、堂上直は三塁へ進んだ。ここで中日は三塁ランナーを堂上直に代えて、今季限りで引退を表明している英智を起用する。

 打席には第3戦で決勝タイムリーを放った堂上剛裕。弟・直倫のつくったチャンスをいかすことができるか――。堂上剛は2−2からの5球目、フォークをフルスイング。一瞬、空振り三振かと思われたが、かすかにボールがバットに当たっており、ファウルとなる。堂上剛はフルカウントまで粘った末の8球目、真ん中に入ってきたストレートをジャストミート。完璧にとらえた打球だったが、不運にもセカンド寺内のほぼ真正面に。2死となり、巨人の日本シリーズ進出まであとアウト1つと迫った。

 すると、スタンドから「ニシムラ」コールが鳴り響き、1球1球、歓声とどよめきが沸いた。そんな異様な雰囲気の中、最も冷静だったのは打席の大島だった。西村のストレートをレフトへ弾き返し、三塁ランナー英智を返した。しかし、中日の反撃もここまでだった。続く荒木の打球はボテボテのゴロに。これをサード村田が軽快にさばき、ファースト古城のミットにボールが収まった瞬間、巨人の33年ぶり3度目の日本シリーズ進出が決定した。

 リーグ優勝時よりも2度多い、10度、宙を舞った原辰徳監督は、興奮気味に次のように語り、選手を称えた。
「いきなりの3連敗で徳俵に乗った状態での戦いとなったが、それから選手たちは頑張ってくれた。非常に価値のある日本シリーズ進出となった」
 3年ぶりの日本シリーズではパ・リーグ覇者で、CSファイナルステージでは無傷の3連勝で先に日本シリーズ進出を決めていた北海道日本ハムとの対戦となる。3年ぶりとなる両軍の頂上決戦は27日に東京ドームで開幕。巨人は3年ぶり22度目の日本一を目指す。