WBC開幕まで、あと3週間を切った。カープからは、菊池涼介、鈴木誠也、田中広輔の3人が侍ジャパンのメンバーに名を連ねている。

 

 宮崎・日南のキャンプでは菊池と田中が揃って三塁に入ってノックを受けていた。言うまでもなく本職は菊池がセカンド、田中はショート。サードのレギュラーは福岡ソフトバンクの松田宣浩が予定されているが、国際試合では何が起きるかわからない。それを踏まえ、保険をかける意味もあって侍ジャパンの首脳陣から球団に「2人にはサードも守れるようにしておいてくれ」とのオファーがあったのだろう。ノックの際には、WBC球が使われていた。

 

 2人とも難なくゴロを処理していたが、元々、大学時代に菊池はサードを守っていた。田中もプロ1年目にサードの経験がある。勘さえ戻れば本番でも問題はないだろう。そして、この練習はペナントレースにも生きてくると思うのだ。

 

「ひとり最低でも2つのポジションをこなせるようにしておいて欲しい」

 かつて、選手たちにこう命じた監督がいる。カープを4度のリーグ優勝、3度の日本一に導いた名将・古葉竹識だ。

 

 カープ全盛期、衣笠祥雄はスタメンではサードで出場し、勝ち試合では守りを固めるため、後半、ファーストに回った。同様にセカンドの三村敏之は後半、サードのポジションについた。ユーティリティ・プレーヤーの木下富雄は内野ならどこでも守ることができた。

 

 ひとりが2役ないし3役こなすことができれば、それだけで戦力的な厚みができる。WBC対策も含めて“一石二鳥”と行きたいものだ。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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