27日、プロ野球日本シリーズが開幕し、セ・リーグ王者の巨人とパ・リーグを制した北海道日本ハムが対戦した。巨人は4回に阿部慎之助のタイムリーなどで4点を先制すると、5、7回に2点ずつ追加。投げては、先発の内海哲也が7回2安打無失点の好投、リリーフ陣は日本ハムの反撃を1点に抑え、逃げ切った。巨人が4番とエースの活躍で日本シリーズ初戦をモノにした。

◇第1戦
 ボウカー、2安打5打点の活躍(巨人1勝0敗、東京ドーム)
北海道日本ハム   1 = 000000001
巨人           8 = 00042020×
勝利投手 内海(1勝0敗)
敗戦投手 吉川(0勝1敗)
本塁打 (日)陽1号ソロ
      (巨)ボウカー1号3ラン
「日本シリーズという大きな舞台で、初戦をこういった形で勝てたのは、非常に大きい」。そう原辰徳監督が語ったとおり、エースと主砲が躍動する理想的な試合展開で巨人が勝利を収めた。

 セ・パの頂上決戦、両軍の開幕を任されたのはサウスポーエースだった。巨人は最多勝・内海哲也、日本ハムは最優秀防御率・吉川光夫。両リーグのタイトルホルダーが先発マウンドに上がった。

 内海はチェンジアップなどの変化球を武器に序盤をノーヒットピッチング。自身も「完璧でした」と振り返ったとおり、初回に死球を与えただけの文句なしの立ち上がり。一方の吉川は、対照的に得意のストレートを弾き返された。1、2回に得点圏にランナーを背負うなど、ゼロには抑えたが苦しいすべり出しだった。

 試合が動いたのは4回裏だった。先頭の坂本勇人がレフト線を襲う二塁打を放ち、無死から得点圏にランナーを置く。迎えるバッターは4番の阿部。セ・リーグの2冠王は、3球目の外角低めのカーブに巧くバットを合わせ、センター前に落とした。大黒柱のタイムリーで、巨人が貴重な先制点を叩き出した。

 先制を許した吉川は、続く高橋由伸、村田修一を変化球で空振り三振に切って取った。エースの意地で2アウトをとったが、伏兵に手痛い一発を浴びる。矢野謙次にライト前ヒットを許すと、前の打席で併殺打に打ち取っていたジョン・ボウカーを迎える。原監督が「速い球に対応できるだろう」と起用した助っ人は、初球の高めに抜けた変化球をフルスイング。打球は巨人ファンの待つライトスタンド中段に飛び込んだ。4点のリードをエースにプレゼントした。

 援護もらった内海だが、5回表に死球とヒットで、無死一、二塁のピンチを迎える。「(日本ハム打線は)威圧感があったし、重圧もあった」と、試合後に語ったが、そこで力を発揮してこそエース。内海は走者を送る構えの金子誠にバントすら許さず、3球三振に仕留めた。続く鶴岡慎也をセンターフライに打ち取ると、代打・鵜久森淳志にはフルカウントから内角低めに沈めるチェンジアップで空振り三振を奪った。

 エースの力投に再度主砲が応える。1死からツーベースと四球で一、二塁のチャンス。バッターボックスに入った阿部は、インコースの真っ直ぐを強振し、一塁線を破る二塁打を放った。リード面でも内海を支える女房役が先制打に続き貴重な中押し打。続く高橋にもタイムリーが生まれ、6点のリードを奪い試合をほぼ決めた。

 内海は6、7回をともに三者凡退に切って取り、7回を2安打7奪三振無失点の好投でマウンドを降りた。クライマックスシリーズファイナルステージMVPの糸井嘉男から3打数無安打、2三振を奪い仕事をさせなかった。原監督が「エースらしいピッチング、堂々とやってくれた」と称えたとおりの素晴らしい内容で後続にバトンを渡した。

 巨人は7回裏にボウカーの適時二塁打で2点を追加し、ダメ押し。9回に3番手・ディッキー・ゴンザレスが一発を浴びたものの、8−1で快勝した。打線はスタメン野手全員にヒットが生まれ、計14安打8得点と爆発した。クリーンアップはそれぞれ2安打ずつ、主軸が結果を残した。さらに7番・矢野が猛打賞、8番ボウカーは5打点の活躍、下位打線も大当たり。CSファイナルステージを3連敗からの3連勝で勝ち上がったチームの勢いを感じさせた。

 敗れた日本ハムは、エースで初戦を落とした。巨人とは対照的にCSを無傷の3連勝で制したが、日本シリーズは完敗スタート。ただ、完封負けでは終わらず陽岱鋼が9回に一矢を報いた意味は小さくないはずだ。明日の第2戦は安定感抜群の武田勝が先発予定。勝敗をタイに戻して、札幌に帰りたい。