28日、プロ野球日本シリーズの第2戦が行われ、巨人が北海道日本ハムに連勝した。巨人は初回、1番・長野久義の先頭打者ホームランでいきなり先制する。その後、追加点を奪えないものの、先発の沢村拓一が8回を無失点に抑える好投。9回は山口鉄也、スコット・マシソンの継投で虎の子の1点を死守した。シリーズ第3戦は30日、舞台を北海道に移して行われる。

◇第2戦
 武田勝、6回1失点好投も援護なく(巨人2勝0敗、東京ドーム)
北海道日本ハム   0 = 000000000
巨人           1 = 10000000×
勝利投手 沢村(1勝0敗)
敗戦投手 武田勝(0勝1敗)
セーブ   マシソン(0勝0敗1S)
本塁打 (巨)長野1号ソロ
 1点のリードで十分だった。先発の沢村は、序盤にピンチを招いたもの、力強いピッチングで日本ハム打線をねじ伏せ、チームに勝利を呼び込んだ。

 試合は初球から動いた。日本シリーズ初登板の沢村のインコース高めのストレートが、スイングにいった陽岱鋼の左手を直撃。沢村はいきなりランナーを背負ってしまう。送りバントで一死二塁となり、3番・糸井嘉男を外野フライに打ち取り、4番・中田翔を迎える。二塁ランナーは俊足の陽だけに、外野に抜ければ1点の場面だ。そんなプレッシャーが再び背番号15の手許を狂わせる。追い込んだものの、4球目がインコース高めの球が中田の左手に当たった。沢村の表情には明らかに動揺の色が浮かんでいた。

 そんな沢村に喝を入れたのが、女房役で中央大学の先輩でもある阿部慎之助だった。一死一・二塁で迎えた5番・稲葉篤紀の場面で、沢村は牽制球のサインを見落とした。阿部はすかさずタイムをとって、マウンドに詰め寄ると、後輩の頭をポカンと叩いた。「大事な試合なんで、ミス1つで負けると思うし、ああいうふうにサインミスをしていたんじゃ、しょうがないと思う」。沢村はその場面をこう振り返った。これで腹をくくったという先発投手は、稲葉をゴロに打ち取り、ピンチを脱した。

 その裏、巨人が先制に成功する。先頭打者の長野が、ホームランを叩き込んだのだ。日本ハム先発・武田勝の初球を見送って1ストライクとなると、続く2球も見送ってボール。そして4球目、真ん中高めのシュートを振り抜いた。ボールは右中間にぐんぐん伸びて、スタンドイン。長野は「しっかり振れていたので、完璧だった」と納得の表情を見せた。

 援護を受けた沢村は2回表も二死三塁のピンチを招いたものの、9番・武田勝をカウント0−2からの外角ストレートで見逃し三振に仕留めて得点を許さない。これで完全に立ち直った沢村は、持ち前のストレートで押し込むピッチングで日本ハム打線を抑え込んでいく。7回までにヒットを2本許したものの、後続を打ち取り、得点圏にランナーを進ませない。加えて、四球はゼロと初回に見られた乱調がウソのような投球内容だった。

 圧巻だったのは8回表のピッチングだ。先頭の代打・杉谷拳士は11球粘られたものの、外角低めの直球で空振り三振に仕留める。続く1番・陽はカウント2−2からの6球目、外角高め148キロのストレートでスイングアウト。そして、2番・西川にはすべて直球で押した。4球目の外角ストレートで空振り三振に切ってとると、マウンド上で雄叫びを上げた。8回を投げ切り、見事、先発の役割を果たした。

 1−0のまま迎えた9回表は、山口鉄也が登板した。簡単に2アウトをとったものの、5番・稲葉、6番・小谷野栄一に連続ヒットを許し、二死一・三塁のピンチを招いてしまう。代打に二岡智宏を送られると、原辰徳監督は山口からマシソンへの継投を決断。この継投策が功を奏した。マシソンが初球、外角のストレートで二岡をライトフライに打ち取り、ゲームセット。第1戦は先発全員安打で圧勝した巨人が、投手戦となった第2戦も制した。

「クライマックス(シリーズ)の頃から、本当に一皮、一ランク上がったピッチングをしてくれている。本当に頼もしく感じている」
 原監督は、勝利の立役者・沢村に賛辞を惜しまなかった。2回以降は、日本ハムに反撃のスキを与えない完璧なピッチングだった。お立ち台に上った背番号15は最後に「明後日も勝つ!」と力強く宣言。巨人が3年ぶりの日本一へ向け、勢いを維持したまま札幌に乗り込む。