11日、アジアシリーズ決勝が韓国・釜山サジク運動場で行なわれ、巨人がラミゴ(台湾)と対戦した。2回、巨人は石井義人の走者一掃となるタイムリー二塁打で2点を先制。さらに実松一成の2ランでこの回一挙4点を奪った。中盤にも追加点を奪い、リードを広げた。投げては先発の宮國椋丞が6回4安打、本塁打による1失点に抑える好投を披露。その後は福田聡志、高木京介とつなぎ、最終回は西村健太朗が2失点を喫するも、逃げ切った。巨人はアジアシリーズ初制覇で、交流戦、セ・リーグペナントレース、クライマックスシリーズ、日本シリーズと合わせて5冠を達成した。
◇決勝
 坂本がMVPに選出される
巨人        6 = 040001100
ラミゴ(台湾)   3 = 000100002
勝利投手 宮國
敗戦投手 フィリップス
本塁打 (巨)実松1号
      (ラ)林智勝2号
 オーストラリア王者のパース・ヒート、韓国のロッテ・ジャイアンツに連勝してB組1位で決勝に進んだ巨人。A組1位の台湾王者・ラミゴを下し、初のアジア王者に輝いた。
 
 試合が動いたのは2回表だった。巨人打線がラミゴ先発のポール・フィリップスに襲い掛かる。先頭の阿部慎之助が四球で出塁すると、続く村田修一がライトフェンス直撃のツーベース。無死二、三塁のチャンスに石井が打席に入る。石井は高めのストレートを叩き、右中間フェンス直撃の二塁打を放った。2走者が還り、巨人が先制に成功する。

 さらに2死後、この日、スタメンマスクを被った実松が高めの直球をフルスイングする。打球は、レフトスタンドに飛び込む2ランホームラン。巨人は長打攻勢でフィリップスをマウンドから引きずり降ろし、4点のリードを奪った。

 援護点をもらった巨人先発の宮國は再三ランナーを出しながらも粘りの投球をみせる。4回裏に台湾の本塁打王・林智勝に特大の一発を浴びるも、6回を1失点で凌ぎ、試合を作った。

 3回以降、ラミゴの2番手・王豊シンに無得点に抑えられていた巨人打線だったが、6回表に村田、石井の連打でチャンスを作ると、矢野謙次が初球のスライダーをレフト前へ運び、1点を追加した。7回には坂本勇人の犠牲フライで加点し、リードを5点に広げた。

 巨人は宮國の後を受けた7回を福田、8回を高木京がきっちりゼロで抑える。9回には守護神・西村が登板し、試合を締めにかかる。

 だが、CSから不安定な投球を見せていた西村はピリッとしない。先頭打者をサードの中井大介の送球エラーで出塁を許すと、続く林泓育にセンターオーバーの二塁打を放たれ、無死二、三塁のピンチを招く。代打の余徳龍にライト前へポトリと落ちるヒットを許し、1点を返された。

 1死後、黄浩然が一、二塁間に鋭い当たりを放ち、同点のランナーを許すかに思われたが、ファーストに守備交代していた中井がダイビングキャッチし、打者走者をアウトにする。このゴロの間の1点を返されたが、あとアウトひとつとなった。中井が、汚名返上のファインプレーで西村を救った。西村は最後のバッターを空振り三振に仕留め、巨人は6−3で辛うじて逃げ切った。

 これで巨人は今季、交流戦、セ・リーグ、クライマックスシリーズ、日本シリーズにアジア王座を加え、タイトルを総ナメ。5冠を達成し、シーズンを有終の美で締めくくった。