ボクシングのWBA世界バンタム級王座統一戦が4日、大阪BODYMAKERコロシアムで行われ、王者の亀田興毅(亀田)は暫定王者のウーゴ・ルイス(メキシコ)に2−1の判定勝ちを収め、5度目の防衛と王座統一に成功した。前回の防衛戦で左手を骨折し、8カ月ぶりの試合となった亀田は、足を使って相手とうまく距離をとりながら、コンパクトにパンチをまとめ、KO率9割を誇る難敵を下した。
 ジャッジの判定が割れ、明確な決め手のない試合だった。だが、持ち味のスピードで、強打の暫定王者を上回った。
 対戦を義務付けられながら交渉がまとまらず、亀田の負傷による休養もあって、ようやく実現した統一戦。相手のルイスは身長で9.5センチ、リーチで7センチも上回る。そこで亀田は立ち上がりから距離をとり、アウトボクシングを選択した。様子を見ながら鋭い踏み込みでショートの左を打ち込む。この作戦が功を奏した。

 ルイスはジャブからワンツーと拳を振るうが、亀田はガードが固く、クリーンヒットには至らない。お互いに距離を測り合う展開が続き、ようやく接近しての打ち合いが見られたのは4Rの終盤だった。ルイスが右ボディからストレートを放つと、亀田がカウンターで左を返す。ラスト10秒で激しく拳が交じり、ラウンドを終えた。

 亀田にとってヒヤリとしたのは続く5Rだ。距離がつかめてきたのかノーモーションの左から右フックを当て、笑顔を見せたのもつかの間、ルイスの長い右が飛び、顔面を捉える。中途半端な距離ではつかまるとみたのか、亀田はその後、ロープを背負い、相手を呼び込む場面も見られた。

 6Rにはルイスが右を繰り出してコーナーまで詰めてきたところを体を入れ替えながらカウンターを放つ。メキシコ人はバランスを崩し、スリップ。手数を増やして仕留めようと相手が焦れ始めたことも亀田にとっては好都合だった。

 一方の亀田もなかなか懐に踏み込めず、有効打は少ない。ターニングポイントになったのは10Rだ。接近戦となり、頭を下げたところへ亀田の左ショートがヒット。ルイスは鼻から出血が見られるようになる。

 試合終盤の亀田は相手と離れるか、距離を詰めるか戦い方がはっきりしていた。ルイスは自分の間合いでボクシングができず、的確にパンチを当てることができない。むしろ接近戦ではコンパクトに振り抜く亀田の左を顔面に受け、出血がひどくなっていった。12Rには亀田のパンチが連続して当たり、ポイントを稼いだ。

 ジャッジは117−113でルイスを支持したのが1者、後の2者は116−113、115−113で亀田を支持した。手数をとるか有効打をとるかで見方の分かれる試合だったが、亀田のほうが試合運びに関しては巧みだった。  

 過去の世界戦ではランキングが低い相手が多く、その実力に疑問符をつけられてきた。今回、ようやく強敵と顔を合わせ、勝利を収めた点は評価できる。次戦は同級スーパー王者のアンセルモ・モレノとの対戦を義務付けられる見込みだ。真価が問われる戦いはこれからも続いていく。