9日、FIFAクラブワールドカップ2012の準々決勝が豊田スタジアムで行われ、サンフレッチェ広島(開催国代表)がアル・アハリ(アフリカ代表、エジプト)と対戦した。広島は前半15分、アル・アハリに先制点を奪われたものの、32分、FW佐藤寿人のゴールで追いつく。しかし、後半12分、FWモハメド・アブトレイカに勝ち越し弾を許し、これが決勝点。広島は同じく準々決勝で敗退した蔚山現代(アジア代表、韓国)との5位決定戦(12日、豊田ス)に回ることになった。

 佐藤、大会初ゴールも実らず(豊田ス)
サンフレッチェ広島 1−2 アル・アハリ
【得点】
[広島] 佐藤寿人(32分)
[ア] エルサイド・ハムディ(15分)、モハメド・アブトレイカ(57分)
「決定力の差で負けた」
 佐藤は、敗因をこう断言した。アル・アハリの枠内シュートは8本中3本だったのに対し、広島は11本中6本。そのうちの1本しか決められなかった。

 雪が降るなかで迎えた一戦。広島は度重なるアクシデントに見舞われた。前半3分、GK西川周作が、PA内へのスルーパスに反応し、抜け出てきたFWゲドと交錯。その際、西川の顔面にゲドの左ヒザが入った。治療のためピッチに入ったスタッフから、すぐさまベンチに向かって×印が出された。広島は、いきなり今季リーグ戦34試合すべてにフル出場した守護神を失ってしまったのだ。ベンチは西川に代わって大卒ルーキーのGK増田卓也を送り出した。

 不測の事態を乗り切りたいところだが、15分、先制点を奪われてしまう。DFファティにPA内右深くまで侵入されると、マイナスの折り返しをFWハムディに右足で押し込まれた。PA内にDFは揃っていたものの、マークを完全に見失っていた。

 苦しい状況に陥った広島が追いついたのは32分、佐藤が決めた。左CKのこぼれ球をMFミキッチが頭でつないだボールをPA内右で受け、右足を振り抜く。ボールはGKの右手に触れて、ゴール左下に吸い込まれた。

 エースの今大会初ゴールに触発され、沈みかけたチームも普段の攻撃的な姿勢を取り戻していく。34分、MF清水航平が思い切りの良いミドルシュート。37分には、ミキッチが右サイドを抜け出し、ゴール前への折り返したにMF高萩洋次郎が太ももで合わせた。いずれもGKに防がれたものの、主導権を握って試合を折り返した。

 だが、広島にまたもアクシデント。DF森脇良太が太もも裏の張りを訴え、後半開始からDFファン・ソッコと交代したのだ。またも守りの要を失った守備陣は、DFラインを下げて相手の攻撃を受けるかたちが多くなった。

 序盤はゴール前にブロックをつくって跳ね返していたが、まもなくゴールをこじ開けられた。後半12分、DF千葉和彦が右サイドからの浮き球にヘディングでクリアにいったが飛び出したアブトレイカに競り負けた。1対1の場面でGK増田は前に出てシュートコースを消しにいったものの、06年クラブW杯得点王・アブトレイカに右足で冷静にゴール右下へ流し込まれた。このゴールを境に、リードを守ろうとゴール前に人数を固めるアル・アハリを、広島が押し込む時間帯が多くなった。

 しかし、ゴールが遠い。32分、ミキッチが右サイドから中央に切れ込んで打ったシュートはDFにブロックされた。35分には、DF水本裕貴が左FKに頭で合わせるも枠をとらえられなかった。
 直後、佐藤がピッチ中央から高萩のスルーパスに抜け出し、GKと1対1の場面を迎えたが左足のシュートはわずかにゴール右へ。絶好機を逃した瞬間、スタジアムから大きなため息がもれた。佐藤は40分にも、PA内左サイドからシュートでニアサイドを狙ったがGKに弾きだされた。

 その後も猛攻を仕掛けたが、最後までネットを揺らせず、無情のホイッスル。広島は過去に大会に出場した日本勢(浦和、G大阪、柏)で初めて準決勝進出を逃した。

「前半に逆転できるチャンスもあったし、自分自身も同点ゴールを決めるチャンスがあった」
 佐藤はインタビューで反省の弁を繰り返した。だが、「こういう舞台でも(攻撃的な)サンフレッチェのサッカーをできたのは誇り」と前を向く。5位決定戦の相手はアジア代表の蔚山現代(韓国)。日本で同じアジアのクラブに負けるわけにはいかない。

 モンテレイ、2度目出場で初ベスト4!

 また、準々決勝のもう1カードではモンテレイ(北中米カリブ海代表、メキシコ)が蔚山現代を3−1で下した。モンテレイは前半9分、MFヘスス・コロナのゴールで先制すると、後半、FWセサル・デルガドの2得点でリードを3点に広げた。終盤、1点を返されたものの、危なげなく逃げ切った。12日の準決勝ではコリンチャンス(南米代表、ブラジル)と激突する。

 蔚山、シュートわずか3本で完敗(豊田ス)
モンテレイ 3−1 蔚山現代
【得点】
[モ] ヘスス・コロナ(9分)、セサル・デルガド(77分、84分)
[蔚山] イ・グノ(88分)