13日、FIFAクラブワールドカップ2012の準決勝第2試合が横浜国際競技場で行われ、チェルシー(欧州代表、イングランド)がモンテレイ(北中米カリブ海代表、メキシコ)を3−1で下した。チェルシーは前半17分、FWフアン・マタのゴールで先制する。後半1分にFWフェルナンド・トーレスが2点目、3分にはマタがオウンゴールを誘発してモンテレイを突き放した。終了直前に1点を返されたものの、余裕の試合運びで決勝進出を決めた。チェルシーは決勝(16日、横浜国際)でコリンチャンス(南米代表、ブラジル)と激突する。敗れたモンテレイはアル・アハリ(アフリカ代表、エジプト)との3位決定戦(同)に回る。

 マタ&トーレス、スペイン代表コンビが活躍(横浜国際)
チェルシー 3−1 モンテレイ
【得点】
[チ] フアン・マタ(17分)、フェルナンド・トーレス(46分)、オウンゴール(48分)
[モ] アルド・デニグリス(90分+2)
 限りなくパーフェクトに近い試合内容だ。前半で先制し、後半に追加点を奪って突き放した。3枚の交代カードもしっかりと使い、中2日で迎える決勝に備えた。

 チェルシーは立ち上がりからボールを支配してチャンスをつくった。前半6分、MFエデン・アザールがMFダビド・ルイスのスルーパスに抜け出し、PA内左サイドでからシュート。13分には、マタの左CKにDFブラニスラフ・イバノヴィッチが左足ボレーで合わせた。いずれもわずかに枠をとらえられなかったが、“ブルーズ”(チェルシーの愛称)が先制するのは時間の問題に思われた。

 すると17分、鮮やかな連係からゴールを奪った。左サイドバックのDFアシュリー・コールがPA手前のMFオスカルに縦パスを入れてそのままPA内へ走りこむ。A・コールがオスカルのヒールパスを受けて折り返したボールを、マタが左足でゴール左下に蹴りこんだ。美しい先制弾にチェルシーサポーターのみならず、会場全体から大きな拍手が贈られた。
 先制後もチェルシーはボールを支配し、イバノヴィッチ、A・コール、MFジョン・オビ・ミケルがシュートを放った。いずれもゴールには至らなかったものの、モンテレイを圧倒して試合を折り返した。

 2点目は後半開始直後に生まれた。決めたのはF・トーレスだ。左サイドを突破したアザールからの折り返しを受け、前にいたDFを左にかわして左足を振りぬいた。シュートはDFに当たったが、GKの頭上を越えてゴールネットを揺らした。直近の公式戦2試合で4ゴールをあげているストライカーの好調ぶりがうかがえた。
 その直後だった。F・トーレスが爆発的なスピードで左サイドを駆け上がり、右足アウトサイドでゴール前へ。マタがファーサイドでボールを収めて、中央へ折り返す。これがDFに当たり、ゴールマウスに吸い込まれた。これで3−0。チェルシーが早くも試合を決めた。

 守りではボランチのD・ルイスがいい仕事をした。普段はセンターバックで起用されるブラジル人は、中央突破を試みるモンテレイの攻撃をことごとくつぶした。ラファエル・ベニテス監督は、「モンテレイには(チェルシーの)中盤とDFラインの間でプレーする選手が多かった。なのでD・ルイスをボランチに置いたほうが素早く対応できると思った」と起用の意図を説明。指揮官の思惑通り、モンテレイは中央を攻めあぐね、本来のかたちではないサイド攻撃を仕掛けるしかなかった。

 その後はマタ、トーレス、D・ルイスをベンチに下げ、決勝に向けてケガなどのリスクを回避。これにより、8日のリーグ戦で約1カ月半の負傷から復帰したMFフランク・ランパードに出場機会を与えることもできた。
 終了間際、デニグリスにゴールを許したものの、直後にタイムアップ。南米王者・コリンチャンスが待つ決勝へ駒を進めた。

「良い試合だった。テンポが速く、良いゴールが生まれ、運動量も豊富だった。ポジティブな面が多く出た。チームも組織されていたし、後半でさらにプレーが良くなった」
 ベニテス監督は快勝を収めたチームに賛辞を惜しまなかった。指揮官にとって、3度目のクラブW杯決勝進出だ。05年日本大会ではリヴァプールを率いてサンパウロと対戦し、0−1で敗れた。だが、インテルの監督して臨んだ10年UAE大会は見事、チームを世界一に導いている。

「優勝への自信を持つのは難しいし、決勝では何が起こるか分からない」と優勝宣言はしなかったが、「決勝で負けるわけにはいかない」と語気を強めた。ブルーズが頼れる指揮官とともに、クラブ史上初の世界タイトル獲得に挑む。