埼玉西武からFA権を行使して、メジャーリーグ移籍を希望していた中島裕之が現地時間18日、オークランド・アスレチックスと2年契約を結んだ。背番号は西武時代と同じ「3」。総額は650万ドル(約5億5000万円)で、3年目の契約は球団が選択権を持つ。中島は昨季、ポスティングシステムでのメジャー行きを目指したが、交渉権を落札したニューヨーク・ヤンキースとの条件が折り合わず、西武に残留した。今回は自らが移籍先を選べるFA権を得て、2年越しで夢を実現させた。
 アスレチックスは今季のア・リーグ西地区覇者。昨季は松井秀喜が在籍していた。このオフはクリフ・ペニントン(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)、スティーブン・ドルー(ボストン・レッドソックス)とショートが相次いでチームを離れ、補強が急務だった。中島自身も慣れ親しんだポジションで試合に出られるところを希望しており、お互いの思惑が一致したかたちだ。

 日本で主にショートだった選手がメジャー挑戦するのは、松井稼頭央、西岡剛、川崎宗則に次いで4人目。しかし、天然芝への対応にとまどったり、走者の激しいスライディングに負傷したり、セカンドへコンバートされたりと、ショートで成功を収めたと言える選手はまだいない。日本人野手への評価がメジャーリーグ内で低下している中、西武での今季年俸(2億8000万円+出来高)とほぼ同額の契約内容は期待の表れだろう。前年にヤンキースが提示した80万ドル(約6200万円)と比較すれば、かなりの差だ。

 日本での通算打率.302、9年連続で2ケタ本塁打を放つなど打撃面での実績は申し分ない。プロ入り後に鍛え上げ、ゴールデングラブ賞に3度輝いた守備がどこまで通用するか。これまで日本人内野手が越えられなかった壁を今度こそ打ち破る。