プロ野球開幕まで4日と迫った25日、セントラルリーグで初の試みとなる「ファンミーティング2013」が東京ビックサイトでファン3000名を前に行われた。会の目玉となったのは全6球団の監督が一同に集まってのパネルディスカッション。連覇を狙う巨人の原辰徳監督は、他球団の指揮官が昨季の優勝チームを意識した発言をする中、堂々と「受けて立ちます」と宣言し、激しく火花を散らした。
(写真:6球団の監督に加え、今季のドラフト1位ルーキーも登場した)
 ストップ・ザ・巨人――。今季のセ・リーグは、充実した戦力を誇る前年度のチャンピオンに5球団が挑む構図だ。パネルディスカッションでは、開幕カードで激突する広島の野村謙二郎監督が「弾みをつけて連勝して勢いに乗りたい」と打倒・巨人に強い意欲をみせた。

 昨季は4勝17敗3分と大きく負け越した横浜DeNAは中畑清監督も、中日から獲得したエンジェルベルト・ソトを開幕2カード目の巨人戦で先発させることを明言。それを聞いた中日の高木守道監督が、「ジャイアンツに勝ってもらうために出した。しっかりジャイアンツを倒してください」と応じた。

 強まる巨人包囲網に対して、原監督は「連覇を意識して戦う」とキッパリと言い切った。投打ともに選手層は厚く、激しいポジション争いがチーム力を高めている。「昨季は躍動というスローガンを掲げたが、まだまだ途上のチーム。だから今季は躍動しながら進む、躍進を合言葉にした」と、さらなる進化で球団ではV9以来となる連続日本一へ突き進むつもりだ。
(写真:キーマンには「リーダーとして引っ張ってもらいたい」と坂本、沢村の名前をあげた)

 開幕を目前に控え、チームによっては明るい材料ばかりではないところもある。ソトやトニ・ブランコらが抜け、セットアッパーの浅尾拓也も故障で欠く中日はオープン戦最下位に終わった。「東京は桜が満開だが、名古屋はまだつぼみ。我々のチームも、まだつぼみ。開幕まで、あと2週間はほしい」と高木監督は本音をこぼす。

 また東京ヤクルトも主砲のウラディミール・バレンティン、ショートの川端慎吾がケガで開幕には間に合わない見込みで、小川淳司監督は「畠山(和洋)がキーマンになる」とオープン戦首位打者のバットに期待を寄せた。

 ステージには各球団のドラフト1位選手も上がり、今季への決意を口にした。ひときわ目立ったのは阪神の高卒ルーキー藤浪晋太郎だ。197センチの長身のみならず、オープン戦でも結果を残し、先発ローテーション入りを勝ち取った。和田豊監督は「開幕のカードで投げる可能性が高い」と神宮球場でのヤクルト3連戦でデビューさせる方針を明らかに。それを聞いた藤浪は「しっかり自分のピッチングをするだけ。チームの力になれるように頑張っていきたい」と自然体で初登板に臨む構えだ。
(写真:「いつも話す時は見上げないといけないので首が疲れる(笑)」と和田監督から紹介され、苦笑いの藤浪)

 パネルディスカッションに先立っては、各球団のOB解説者が戦力分析と順位予想を披露。阪神OBの川藤幸三氏は1位に阪神、2位・広島、3位・中日、4位・DeNA、5位・ヤクルト、最下位・巨人と大胆な予想を行った。理由を聞かれた川藤氏は「予想なんて当たらへん。1位は阪神、最下位は巨人。あとは西から並べた」と語り、場内は爆笑に包まれていた。

 開幕直前に全球団の指揮官が集結する初のイベントは、チケットが前売りで完売し、ファンの反応も上々だった。阪神の和田監督も「いい情報をいただいた」と前哨戦で手応えをつかんだ様子だ。各チームは最終調整に入り、3月29日、いよいよ長い戦いの火ぶたが切って落とされる。