6日、日本代表(FIFAランク21位)がキリンチャレンジカップ2013(ホームズスタジアム神戸)でラトビア代表(同104位)と対戦した。日本は序盤からボールを支配したものの、ゴールが遠い。しかし前半41分、MF岡崎慎司(シュツットガルト)のゴールで先制する。その後はMF本田圭佑(CSKAモスクワ)、岡崎のゴールでリードを広げ、2013年の初戦で3−0の快勝スタートを切った。日本は今後、カナダ代表(同64位、3月22日)との親善試合を経て、アウェーでのブラジルW杯最終予選ヨルダン代表(同95位、3月26日)戦に臨む。

 本田、芸術的ループ弾(ホームズ)
日本代表 3−0 ラトビア代表
【得点】
[日] 岡崎慎司(41分、61分)、本田圭佑(60分)
 有意義なテストマッチだった。攻めては終始ボールを支配して3ゴール。守りではラトビアに3本のシュートしか許さなかった。MF乾貴士(フランクフルト)や初選出のMF大津祐樹(VVV)も起用し、チームの底上げも図った。

 アルベルト・ザッケローニ監督が「スムーズにいかなかった」と語ったとおり、序盤は思うようなサッカーができなかった。スタメン発表では本田がワントップだったが、フタを開けると岡崎がワントップに。2列目は左からMF香川真司(マンU)、本田、MF清武弘嗣(ニュルンベルク)という構成だった。ワントップに抜擢された岡崎だが、パスを受けるものの、体格で上回る相手DFに体を寄せられてボールを失う場面が多かった。また、全体的にシュートを打てるところでパスを選択したり、消極的な面もみられた。

 ただ、前半22分にMF長谷部誠(ヴォルフスブルク)がミドルシュートを放ってから、徐々にリズムが生まれ、いいかたちをつくりだしていく。24分、本田がPA手前から左足でシュート。31分には岡崎がDF長友佑都(インテル)の左サイドからのクロスを頭で合わせた。いずれもGKの正面を突いたものの、スタジアムにゴールの匂いが漂い始めた。

 すると41分、日本にとって2013年最初のゴールが生まれる。決めたのは岡崎だ。PA内で細かくパスをつなぎ、攻め上がっていたDF内田篤人(シャルケ)が右足でシュート。これに岡崎が倒れ込みながら左足に当て、ボールは左ポストに当たってゴールネットを揺らした。内田のシュートは枠を外れていたが「欧州でもああいうボールに触れるか、触れないかでゴールできるかが変わってくる」と岡崎。世界規準のプレーで国際Aマッチ通算30ゴール目を記録した。また、奇しくも兵庫は岡崎の出身地。背番号9の故郷に錦を飾る一発で、日本が1−0とリードして試合を折り返した。

 日本は後半開始と同時にボランチのMF細貝萌(レバークーゼン)からMF遠藤保仁(G大阪)、清武に代えてFW前田遼一(磐田)を投入。前田がワントップ入り、岡崎は右MFにポジションチェンジした。すると4分、前田が香川の左からのクロスをヘディングシュート。これは惜しくも左ポストに弾かれたものの、ラトビア守備陣を脅かす。

 迎えた15分、日本のエース・本田が2点目を奪った。ピッチ中央でパスを受けると左サイドに開いた香川にロングパス。すかさずゴール前に走りこんで、香川からボールを呼び込むと、左足のワンタッチシュートでGKの頭上を抜いた。美しいゴールにスタジアムは大歓声に包まれた。
 その直後だった。余韻が冷めないなか、岡崎がこの試合自身2点目をマーク。PA手前の香川からのスルーパスに抜け出し、前に出てきたGKをかわして左足で無人のゴールへ。立て続けのゴールで勝負を決めた。

 大量リードを奪った日本は、乾、DF酒井高徳(シュツットガルト)、DF伊野波雅彦(磐田)ら代表で出場機会の少なかったメンバーを投入する。なかでも乾は果敢にゴールを狙うなど、所属クラブの中心として活躍する実力をアピールした。

 36分には初選出の大津をピッチへ。ロンドン五輪でチーム最多の3ゴールをあげたアタッカーの登場に、会場から割れんばかりの拍手が贈られた。右MFに入った大津は38分、右サイドでパスを受けると迷わず仕掛ける。ラトビアの選手2人にプレスされたが、粘り強くボールをキープ。ゴールライン際まで持ち込み、最後はCKを獲得した。「思い切りが良い」と評価するザッケローニ監督の期待に応えるプレーだった。

 結局、4点目こそ奪えなかったが、多くのチャンスをつくりだせていた。守備陣も最後まで集中力を切らさず、3試合ぶりの完封。攻守において相手を圧倒する内容で2013年のスタートを切った。

「今日の勝利は3月のW杯予選のヨルダン戦に向けて明るい材料となった」
 ザッケローニ監督は満足気に試合を振り返った。前半の序盤こそ苦しんだものの、「2カ月間も代表が集まっていなかったことを考えると想定の範囲内」と不安はない。
 次のカナダ戦を終えると、いよいよW杯出場権のかかる大一番を迎えるザックジャパン。ラトビア戦でつくったいい流れに乗り、ブラジルまで駆け抜けられるか。


<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
内田篤人
→酒井高徳(62分)
今野泰幸
→伊野波雅彦(66分)
吉田麻也
長友佑都
MF
細貝萌
→遠藤保仁(45分)
長谷部誠
清武弘嗣
→FW前田遼一(45分)
香川真司
岡崎慎司
→大津祐樹(81分)
FW
本田圭佑
→MF乾貴士(72分)