22日、3月2日のJリーグ開幕を前に都内ホテルで「2013Jリーグキックオフカンファレンス」が行なわれ、J1・J2全40クラブの監督と代表選手が集結した。カンファレンスのなかでは、開幕に先駆けて開催される「富士ゼロックス・スーパーカップ」(2月23日、国立)の前日会見も開かれ、対戦する前年度J1リーグ覇者のサンフレッチェ広島と天皇杯王者の柏レイソルの監督とキャプテンが意気込みを語った。
(写真:今季はV・ファーレン長崎がJ2に加わった)
 1993年に始まったJリーグは、今年で20周年を迎える。
「日本サッカーの成長はJリーグとともにあった」
 大東和美チェアマンは、会見冒頭で誇らしくこう語った。悲願だったW杯出場は、98年フランス大会から4大会連続。五輪も96年アトランタ大会から昨夏のロンドン大会まで5大会連続出場を果たしている。すべて、Jリーグが発足後の結果だ。

 昨年からはアジア各国との連携事業を本格的にスタートした。これはアジア各国との共存共栄をはかり、世界におけるアジアのサッカーの地位向上を目指したもの。タイ、ベトナム、ミャンマーとは12年にパートナーシップ協定を締結。具体的な取り組みは「(1)地上波と有料放送でJリーグの試合を放送し、Jリーグに触れる機会の増加」「(2)サッカークリニック、セミナー等のイベントを実施」である。その他の各国とも、協議を進めているという。大東チェアマンは「ASEAN各国の選手がJリーグで活躍するシーンが、将来的にはあってもいいのではないか」と期待した。

 そして、今後の目標としてはアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の奪還、FIFAクラブW杯(CWC)の優勝を掲げた。ACLにおいてJリーグ勢は07年の浦和レッズ、08年にガンバ大阪が優勝している。しかし、09年以降、優勝はおろか決勝に進出したクラブはない。この結果を受け、Jリーグと日本サッカー協会がタッグを組み、ACL出場クラブへの「ACLクラブサポートプロジェクト」を4年ぶりに実施する。
 出場する広島、ベガルタ仙台、浦和、柏に財政的(アウェーへの渡航費の一部負担など)、人的(スカウティングスタッフの派遣など)支援を行う。CWCは今年から2大会はモロッコで開催されるため、ACLで優勝しなければ出場できない。阿部勇樹(浦和)が「日本のチームが出ていないと(CWCは)楽しみがない」と語れば、大谷秀和(柏)も「サポートをいただけているので、本当にベスト4をこの4チームで占められるように」と躍進を誓った。

「Jリーグはこの20年間で急成長を遂げたのは確かだが、我々はその歩みを止めることはできない。現状に満足しては進歩はない」
 大東チェアマンはこう語気を強め、さらなる発展へ尽力する覚悟を口にした。
(写真:東日本大震災の復興支援継続も宣言した大東チェアマン)

 続いて、翌日に迫ったゼロックス・スーパー杯の前日会見では、広島から森保一監督と佐藤寿人、柏からネルシーニョ監督と大谷が出席した。広島は昨季、クラブ初のJ1制覇を成し遂げ、対する柏もクラブ初の天皇杯王者となった。どちらも2度目のスーパー杯出場だ。

 昨季の広島は、森保監督が攻撃的なチームに守りの意識を植え付けた。その結果、11年に49あった失点は34(リーグ2位タイ)に激減し、得点は63(リーグ2位)。攻守のバランスがとれたことが、優勝につながったといえる。
 柏はリーグ戦で6位に沈んだものの、天皇杯では6試合中5試合を1点差で勝ち上がる勝負強さを見せた。オフには谷口博之、狩野健太(いずれも横浜FM)ら主力級の選手を補強。ネルシーニョ監督が掲げる「VITORIA(勝利)」を達成するための準備は万全だ。

 森保監督は「キャンプではベテラン選手のレベルアップはもちろんだが、特に若手選手の底上げに取り組み、ここまで順調」とチーム状態の良さを強調した。対する柏・ネルシーニョ監督も「今季は選手の補強と、アカデミーからの昇格選手が加わって、昨年以上のクオリティーを期待できるチーム」とチームの現状に太鼓判を押した。

 実際にピッチで戦う選手も力強く抱負を語った。昨季のリーグ得点王&MVPに輝いた佐藤は「優勝カップを掲げ、このあとのACL、リーグ戦につなげたい」と勝利宣言。柏・大谷に対しては「気の利くプレーをする選手。タニにたくさんボールを獲られると柏のリズムになっていくので、明日はボールを獲らないで(笑)」と相手キーマンへの警戒心を明かした。
(写真:左から広島・森保監督、佐藤、柏・大谷、ネルシーニョ監督)

 一方の大谷も「柏はタイトルに強いこだわりを持っている。明日もタイトルを必ず獲る」と負けてはいない。言うまでもなく広島のエース・佐藤へは「(佐藤が)フィニッシュをとるとチームもサポーターも盛り上がる。明日は点をとらないで、ピッチでのんびりしていてほしい」と、こちらも笑顔で返した。

 両チームの通算対戦成績は柏の10勝5分6敗と数字では柏有利だ。だが、昨年は1勝1敗の五分だった。バランスに優れる広島か、勝負強さを誇る柏か。2013年のJリーグを占う一戦は、国立競技場で13:35にキックオフされる。