23日、富士ゼロックススーパーカップが東京・国立競技場で行われ、12年Jリーグチャンピオンのサンフレッチェ広島が12年度天皇杯王者の柏レイソルを1−0で下した。広島は前半29分、FW佐藤寿人のゴールで先制する。その後は常にボールを支配して、主導権を渡さなかった。広島は同大会2度目の優勝。27日からのアジアチャンピオンズリーグ、Jリーグ開幕(3月2日)に弾みをつけた。

  佐藤、鮮やかボレー弾!(国立)
サンフレッチェ広島 1−0 柏レイソル
【得点】
[広島] 佐藤寿人(29分)
 エースが試合を決めた。佐藤がこの試合で初めて放ったシュートで、ゴールネットを揺らした。本人も「心に残るひとつ」と語るゴールで、広島に今季初タイトルをもたらした。

 静かな立ち上がりだった。互いに攻撃を組み立てるものの、シュートまで持ち込めない。広島は5バックのかたちで守る柏の守備陣を攻めあぐねた。

 そんな停滞ムードが吹き飛んだのは前半29分だ。佐藤が中盤でボールを奪ってからのカウンターから先制点を奪った。MF青山敏弘の左サイドからのクロスを、ゴール前に攻め上がっていたDF水本裕貴が頭で後ろへ逸らす。佐藤がこれに反応し、体を倒しながら左足ボレー。シュートは右ポストに当たってゴールに吸い込まれた。

 この場面、DFラインから水本が前線まで上がっていた。広島はキャンプで後方からビルドアップし、DFラインの選手も前線に顔を出すかたちに取り組んできた。水本が「狙っていた」と語れば、森保一監督も「キャンプでトライしてきたことが発揮できた」と先制シーンを素直に喜んだ。

 勢いづく広島は34分、水本がミドルシュート。41分にも左MF清水航平がドリブルで攻め上がってからシュートを打った。いずれもわずかに枠を外れたものの、後方から攻めるという指揮官のコンセプトがしっかりと浸透していることがうかがえた。

 1−0のまま迎えた後半12分には、再び佐藤がスタジアムを沸かした。左CKがファーサイドへ流れ、ワンバウンドしたボールをオーバーヘッドキックで捉えた。決まっていればこちらもスーパーゴールだったが、柏GK菅野孝憲のファインセーブに阻まれた。佐藤は「菅野の引き立て役になってしまった」と苦笑したものの、エースとして相手の脅威になっていた。

 しかし15分、佐藤はFW石原直樹と交代。実は10分にPA内へ抜け出してGKを避けて倒れた際、地面に左ヒザを打ちつけて打撲していたのだ。本人も「少ししびれる感じがあった」と明かした。27日からACLも始まるため、森保監督が大事をとったかたちだ。ピッチを後にする背番号11には、称賛の拍手が贈られていた。

 後半は前に出てきた柏にシュートまで持ち込まれる場面が増えたが、守備陣が最後まで集中力を切らさずシャットアウト。エース・佐藤の途中交代でリズムを崩すことなく、勝利を手にした。

「あんなゴール、もうないんじゃないかな」
 佐藤は改めて自身のスーパーゴールを笑顔で振り返った。試合前にセリエAのゴール集を見てイメージを作り上げていたことも明かした。
「ズレてきたボールに対して合わせるのは、準備しておかなければできない。(セリエAのゴール集を見て)ボレーのイメージを描いてピッチに出た。(アントニオ)ディ・ナターレ(イタリア代表)はそういうシュートが上手い。トップレベルの選手から学ぶのは重要なことなので、もっとゴールを奪えるように勉強していきたい」

 31歳を目前に貪欲な向上心を持つストライカーが、今年もチームをけん引する。