WBCに臨む日本代表の強化試合が26日、京セラドーム大阪で行われ、阪神と対戦した。2日前のオーストラリア戦では13安打10得点と打線が爆発した日本だが、この日は一転して音なし。散発の3安打に終わり、17日の広島戦に続いて零封負けを喫した。日本は1次ラウンドの地、福岡に渡り、28日に巨人と最後の強化試合を実施する。

 投手陣は5安打1失点と順調(京セラドーム)
日本代表      0 = 000000000
阪神         1 = 00001000×
(日) 内海−●涌井−森福−攝津−今村
(阪) メッセンジャー−○白仁田−川崎−S伊藤和
 開幕を4日前に控えて、貧打線に再び逆戻りだ。
 先発のランディ・メッセンジャーを除けば1軍の当落線上にいるピッチャーたちの手玉にとられて、ヒットはわずかに3本。1番から5番の上位打線に快音が聞かれず、得点の雰囲気がほとんど感じられなかった。

 スタメンは腰の張りを訴えた松井稼頭央を鳥谷敬に代えた以外は、24日のオーストラリア戦と同じメンバーで臨んだ。しかし、その鳥谷は同僚の前に4打数0安打で2三振に倒れる。突破口を開いてほしいトップバッターの坂本勇人も3タコで本来の打撃ができていない。

 そして最も心配なのは4番を務める阿部慎之助だ。この日もセカンドゴロ、レフトフライ、ピッチャーゴロと打たされた打席が目立つ。これで対外試合では12打数1安打。その1本も内野安打だ。キャッチャーは対戦相手の情報分析にも忙しく、さらに主将としての重圧もかかる。山本浩二監督は阿部の4番にこだわっているが、国際大会を勝つ上で聖域は不要だ。本番のさまざまな事態を考慮して、阿部を他の打順で起用する、またはDHで打撃に専念させるというプランも検討すべきだろう。

 各打者の状態が上がらない中、ひとり気を吐いているのが角中勝也だ。前日に続いて8番で先発すると、5回の第2打席、白仁田寛和のストレートを叩く。打球はグングン伸びてライトフェンス直撃の三塁打。バットをコンパクトに振り抜けており、状態がいいだけにトップバッターで起用するのもひとつの手である。

 投手陣では左腕の先発・内海哲也が、3回1安打無失点と好内容だった。前回登板の広島戦では一発を浴びたが、本番に向けて問題はなさそうだ。続く2番手の涌井秀章は5回に先頭打者への四球から、伊藤隼太のタイムリーで1点を失ったものの追加点は許さない。ワンポイントで登板した森福允彦、セットアッパー役の攝津正は阪神打線をパーフェクトに封じた。

 オーストラリア戦からの3試合で大隣憲司を除く12投手が投げ、抑えの牧田和久や、山口鉄也、攝津、森福といったブルペンはメドが立った。田中将大や前田健太ら先発に若干の不安はあるが、大量失点することは考えにくい。

 とはいえ、どんなに投手陣が踏ん張っても点が入らなければ勝ち進むことは不可能だ。軒並み不振の坂本、阿部、長野久義を上位打線に置き続けて復調を信じるのか。それとも思いきったプランを試してみるのか。前回は大会前にイチローを3番から1番に変更して打線が機能し始めた。いずれにしても残されたテストは、あと1試合しかない。

(石田洋之)