第3回WBCは3日、1次ラウンドで日本代表が中国代表に5ー2と勝利し、連勝を収めた。日本は先発の前田健太が5回1安打無失点の好投。5人の投手リレーで中国打線を最終回の2点に抑えた。攻撃では1点リードの5回、糸井嘉男の走者一掃の3点タイムリーなどで突き放した。日本は2次ラウンド進出に大きく前進し、6日にキューバ代表と対戦する。

◇A組
 中田、先制打含む2安打(ヤフオクドーム)
中国代表      2 = 000000002
日本代表      5 = 01004000×
(中)●羅夏−朱大衛−陳坤−揚海帆−李師−呂建剛
(日)○前田−内海−涌井−沢村−山口
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 WBC出場を熱望していた右腕が、念願の大舞台で好投をみせた。
 先発の前田健太は立ち上がりから140キロ台中盤の速球を連発。スライダーも効果的に決まり、大会前の右肩の不安を払拭する内容で中国打線を牛耳る。初回を3者凡退に仕留めると、2回はわずか8球で3アウトをとる。

 4回には3番・李磊に初安打となる二塁打を許すが、落ち着いて後続を打ち取った。65球の球数制限があるなか、5回を56球で投げ切った。
「心配させといて投げるたびに良くなった。いいピッチングだった」
 山本浩二監督も喜ぶ出来で、しっかりと流れを日本に引き寄せる。

 そんな若きエースを援護したのは若き大砲だ。2回、1死から糸井が四球と盗塁で二塁に進み、チャンスメイク。2死二塁でWBC初打席となる中田翔に打順が巡ってきた。1ストライクから高めに浮いたストレートを振りぬくと打球は三遊間を突破。糸井が三塁を回って先制のホームを踏む。強化試合では十分な結果が出せず、前日のブラジル戦ではスタメンから外れたが、起用に応えた。

 さらに5回、西武にも在籍していた2番手の朱大衛から松田宣浩が内野安打で出塁。犠打と相手のバッテリーミスの間に三塁まで進み、1死一、三塁から打撃好調の3番・内川聖一が打席に入る。2ストライクナッシングと追い込まれたものの、ファウルで粘って7球目を一、二塁間へ。タイムリーとなり、待望の追加点が入った。

 なおも、この日スタメン復帰した4番・阿部慎之助が四球を選び、満塁のチャンス。糸井が1ボールからすっぽ抜け気味に甘く入った変化球を叩くと打球はグングン伸びてセンターの頭上を抜ける。三塁走者、二塁走者はもちろん、ひざに痛みを抱える一塁の阿部までが生還し、5−0。試合の行方を決定付ける得点がスコアボードに刻まれた。

 日本は6回以降、内海哲也、涌井秀章、沢村拓一とつなぎ、中国打線を寄せ付けない。特に沢村は3者連続三振と圧巻のピッチングを見せた。最終回に登板した山口鉄也は連打とバッテリーミスも重なって2点を失ったものの、「投手陣が頑張ってくれた」と指揮官も評価するリレーで逃げ切った。

 その一方で今後に課題が残ったのは攻撃だ。5回に追加点をあげた後、6回以降はノーヒット。簡単に見逃し三振を喫するなど淡白な内容が目立った。特に6番の長野久義はボール球に手を出してしまうなど本来の打撃からは程遠い。またスタメン復帰した阿部も本調子とは言えず、打線がうまく機能していない状態だ。

 キューバ戦までは2日間のインターバルがある。両チームとも2次ラウンド進出を決めた上での試合となることが予想されるが、復調を待って起用し続けるのか、それとも新たな手を打つのか。監督、コーチ陣の見極めがポイントとなりそうだ。

(石田洋之)

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