6日、Jリーグは事務局で会見を開き、2014年度からスタートする「Jリーグ ディヴィジョン3(J3)」の概要を発表した。リーグの位置づけは「J2昇格を目指すクラブのリーグ」とし、2014シーズンは10もしくは12クラブで構成する。9月末に初年度の参加クラブ数を決定する。2015シーズン以降は、徐々にJ3所属クラブ数を増加させていき、将来的には「Jリーグを目指しうるクラブ」を100以上つくることを目標に掲げた。
 J3の最大の特長はJリーグが直接管理することだ。これにより、放送権や商品化権を一括管理し、各クラブに配分することが可能となる。配分金はクラブ経営の下支え効果が期待されている。また、現状のJFLはJ2を目指すクラブとJリーグ入りを目指していないアマチュアチームが混在しているが、J3は「J2昇格を狙うクラブで構成されるリーグ」として一線を画す。JFLは「J3のテストリーグ、アマチュアの最高峰」として今後も存続していく。ちなみにJ3からJFLへの降格はない。

 J3の2014シーズンに参加するには1〜4のステップを満たさなければならない。各ステップは(1)6月30日までにJリーグ準加盟申請を行い、承認される、(2)「J3ライセンス」資格審査および「J3スタジアム要件」審査の合格、(3)「J3入会審査」を受け、承認される、(4)競技成績となっている。

 ステップ(1)のJリーグ準加盟は、昨年度に改定された「Jリーグ準加盟規定」に則り審査される。既存の準加盟クラブは同ステップの審査対象にはならない。基本方針はJリーグ理念の推進、裾野の拡大。理念に賛同し、J2昇格を目指すクラブを広く受け入れ、準加盟クラブ増加により、クラブ間の切磋琢磨と競争を生み出す。以前までの準加盟規定で「スタジアム整備(改修)の計画」が必須であったのに対し、今後はスタジアム整備計画が策定されていなくても準加盟が可能となった。また、「最低限の育成環境の整備」(継続的な普及活動の実施・アカデミーチームの所有または所有する準備があること)、「ガバナンスがある程度整っていること」(短期的に資金不足とならないこと)などと必須要件も見直された。

 ステップ(2)の「J3ライセンス基準」および「J3スタジアム要件」は、J3参加希望クラブに対し、Jリーグが独自にJ3クラブとして最低限必要とされる条件を示したものである。これらの基準は「Jリーグクラブライセンス(J1・J2)」とは連動していない。ただ、J3参加クラブが将来的にJ2昇格を目指す際の準備を円滑にするため、審査基準はJ2クラブライセンスをある程度意識できるレベルに設定されている。審査基準は「Jリーグクラブライセンス」同様に競技、施設、人事体制・組織運営、法務、財務。ただし、プロ契約の選手はトップチームに3人以上(J2は5名)、スタジアム収容人数は原則として5000人以上(J2は1万人以上)とするなど、要件は緩和されている。

 ステップ(2)の要件を充足した準加盟クラブは、随時、ステップ(3)の「J3入会審査」を受ける。Jリーグが新たに「J3入会審査要項」を策定するが、チェアマンによるクラブ代表者、ホームタウン自治体の首長および地元サッカー協会会長に対するヒアリング調査など、審査手続きは「J2入会審査」と同様である(審査項目はJ2よりも少ない)。大河正明Jリーグ管理統括本部長が「ステップ(2)に合格したクラブがステップ(3)で不合格になることはあまり前提においていない」と語ったように、ステップ(3)は形式的な要件であるといえるだろう。

 ステップ(4)の「競技成績」では、ステップ(3)までを充足したクラブのうち、どこが最終的にJ3に所属するのかを決める。第1(JFL)、第2(全国地域サッカーリーグ決勝大会決勝リーグ)、第3(全国地域サッカーリーグ決勝大会予選リーグおよび地域サッカーリーグ)のグループに分ける。上位グループから順にJ3参加クラブとしていき、定数(10もしくは12)になったところで打ちきる仕組みだ。第1グループには2013シーズンの成績をもってJ2から降格するクラブが含まれ、そのクラブは自動的にJ3参加クラブとなる。その他のJFLクラブは参加要件を充たしたクラブは原則としてJ3参加。充足クラブ数が定数を上回る場合は2013シーズンのJFLの成績が上位のクラブから順に参加となる。第2グループは参加要件を充足し、順位が上位のクラブから参加。第3グループのクラブにおいては、参加要件充足を前提に成績、経営状況など、さまざまな要素を総合的に検討し、Jリーグ理事会が参加クラブを決定する。

 2014シーズンからのJ3参加を希望し、準加盟承認を得たもののステップ(2)〜(4)までの各審査いずれかで要件を充たせなかったクラブは、Jリーグに「Jリーグ百年構想クラブ(百年構想クラブ)」として認定され、2015シーズン以降のJ3参加を目指す。また、2014年以降はJ3に所属するクラブを「Jリーグ準会員(J3会員)」と呼ぶことも発表された。J2との入れ替え方法や2015シーズン以降のJ3参加要件は今後、協議していく。