14日、日本サッカー協会はブラジルW杯アジア最終予選ヨルダン代表戦(26日、アンマン)に臨む日本代表23名を発表した。海外組からはFW香川真司(マンチェスターU)、MF長谷部誠(ヴォルフスブルク)ら13名を招集。2月のラトビア戦で代表デビューを果たしたFW大津祐樹(VVVフェンロ)は引き続き選出された。一方、本田圭佑(CSKAモスクワ)と長友佑都(インテル)はともにケガの影響で選外となった。国内組からはMF遠藤保仁(G大阪)、FW前田遼一ら10名が入った。
 現在勝ち点13で予選B組のトップを独走する日本。ヨルダン戦で勝てば無条件でブラジルW杯出場が決まる。指揮官の「できるだけ早く決めたい」という気持ちは選手選考に表れていた。ケガの影響で外れた本田、長友以外は、現状のベストメンバーを招集した。「大きなサプライズはない。代表にも慣れて、ピッチでの役割を十分に把握しているメンバー」と、初選出の選手はいなかった。

 FIFAランク26位の日本に対し、同90位のヨルダン。前回の対戦では埼玉で6−0の大勝を収めているとはいえ、油断はできない。ヨルダンはホームでオーストラリアに2−1で競り勝つなど、自信をつけている。まだW杯出場の可能性も残しており、ホームでの首位叩きにモチベーションも高いはずだ。

 そして日本代表最大の懸念材料は本田、長友という大黒柱を欠くことだ。特に本田は前回のヨルダン戦でハットトリックを決めるなどの大活躍を見せた。ザッケローニ監督は「痛手である」と認めつつも、悲観はしていない。「彼らの代わりに入る選手が活躍してくれる」と、代役への厚い信頼を寄せた。加えて「その選手の能力を最大限に活かせるようにするのが、監督の仕事」と、自信を見せた。

 本田が通常入るトップ下には香川、中村憲剛(川崎F)らの起用が予想され、長友のポジションには駒野友一(磐田)、酒井高徳(シュツットガルト)が入ると見られている。指揮官は誰を使うかは「試合までに見極めたい」と明言を避けた。ただ、「トップ下に関しては、左右のアタッカーが誰になるかが影響してくる」と、起用法についてはザックジャパンのコンセプトのひとつであるバランスを重視する考えを明らかにした。

 ザッケローニ監督は、会見で「コンディション重視」の姿勢を何度も示した。チームの好調時はリズムの回転数が高く、それを支えるのがコンディションであると考えているからだ。現状は海外組と国内組とのコンディンションのギャップがある。海外組が所属する欧州リーグはシーズンの終盤に差し掛かっているが、Jリーグは2日に開幕したばかり。この違いを埋めることがカギを握るだろう。指揮官は「双方のいいところに合わせたい」と語り、国内と欧州で開催時期が異なるジレンマについても「日本代表が今後も抱えていかなければいけない課題」と語った。

 日本代表は18日から24日までカタール・ドーハで合宿を行う。ザッケローニ監督は「通常の合宿より何日か多く時間が取れるので、いい準備をしたい」と話した。合宿中の22日にはカナダ代表と親善試合を行う。カナダ戦については、ヨルダン対策よりも「できるだけ選手のコンディションを把握したい」との位置付けだ。

 26日のヨルダン戦の前には、同組のオーストラリア対オマーン戦が行われる。その試合が引き分けに終わると、日本は引き分けでも“世界最速”でのブラジル行きが決まる。ただ、そういった星勘定は関係ない。ザックジャパンが目指すのは、目の前の勝利だけだ。5大会連続W杯出場決定へ「最高のコンディション」を作り、決戦を迎える。

<日本代表メンバー 23名>

GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
西川周作(サンフレッチェ広島)
権田修一(FC東京)
DF
駒野友一(ジュビロ磐田)
今野泰幸(ガンバ大阪)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
伊野波雅彦(ジュビロ磐田)
内田篤人(FCシャルケ04)
吉田麻也(サウサンプトン)
酒井宏樹(ハノーファー96)
酒井高徳(シュツットガルト)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
長谷部誠(ヴォルフスブルク)
細貝萌(バイヤー・レバークーゼン)
高橋秀人(FC東京)
FW
前田遼一(ジュビロ磐田)
岡崎慎司(シュツットガルト)
ハーフナー・マイク(フィテッセ)
乾貴士(フランクフルト)
香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
清武弘嗣(ニュルンベルク)
大津祐樹(VVVフェンロ)