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(写真:新発売の秋冬モデル。青空からインスピレーションを受けている)

「世界中の女性に合うランニングシューズ」

 アディダスが胸を張るシューズがある。2月から発売しているUltra BOOST Xだ。2015年に発売以降、多くのランナーに愛用されているUltra BOOSTと、女性専用ランニングシューズPure BOOST Xを融合させたプレミアムランニングシューズである。そのUltra BOOST Xは6月、「青空」をイメージしたカラーリングのデザインを含め3色の秋冬モデルがリリースされた。

 

 

 革新的な独立アッパー構造

 

1707adidas3 まずUltra BOOST Xの特徴を紹介しよう。革新的なのはアッパーとミッドソールが切り離された構造になっている点だ(写真)。アッパーは土踏まずの部分を包み込むようなかたちになっており、フィット感を高めつつ、ビジュアルのスリム化を実現させた。機能性とデザイン性を両立している。

 

 アディダスジャパンのマーケティング事業本部ランニングビジネスユニットディレクターを務めるグラス・マリー氏はこう説明する。

「女性の足にピッタリ合うようにデザインされているシューズです。女性ランナーのことを考えた時に私たちはまず履き心地の良さ、快適さを考えています。そのためにはフィット性を追求しなければ、快適性は提供できません」

 

 その履き心地の良さを演出するのがプライムニットアッパーである。軟らかいニット素材をアディダス独自の技術で編み込んでいるアッパーはUltra BOOSTシリーズより採用されている。足を包み込むようにフィットし、かつ動きに応じて変化する。通気性にも優れ、履き心地は抜群だ。女性の足の厚みはそれぞれ異なり、西洋人と東洋人と比較しても違いはある。しかし、Ultra BOOST Xは伸縮性のある素材を使用しており、フィット感は問題ない。それゆえ「世界中の女性に合うランニングシューズ」と言い切れるのだ。

 

1707adidas4 ミッドソールにはBOOSTフォームを100%搭載。優れたクッション性と反発力を兼備しており、快適なランニングをサポートする。今回リリースした秋冬モデルのアウトソールには自動車タイヤメーカーのコンチネンタル社が開発した「コンチネンタルラバー」(写真)が使われている。これにより、優れたグリップ力がもたらされ、雨の日のランニングなど路面が濡れてスリッピーなコンディションでも対応できるシロモノとなっている。

 

 真横からUltra BOOST Xを見ると、土踏まずの部分からつま先部分にかけてのアウトソールは反っている。この角度はARAMISシステムで得られたデータを下につけられたものである。同システムにより、走る動作において、足の形状や足へかかる負担を計測でき、このデータを解析した結果が、シューズづくりに役立てられている。中足部は履き心地の良さを重視し、前足部は少しゆとりを持たせることでより反発力が増す形状だ。

 

 ところでマリー氏は月間約300kmを走破し、東京マラソンにも「準エリート」のカテゴリーで出場した経験を持つ。Ultra BOOST Xは、ランニング愛好家の彼女が「最高級のテクノロジーを搭載しており、アディダス史上最高のシューズだと思います」と太鼓判を押す。デザイン性と機能性を抑えた逸品である。

 

 コンセプトは「女性」と「東京」

 

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(写真:「シューズに合わせたカラーリングのウェアも考案していく」と語るマリー氏)

 アディダスによる女性ランナーに向けたアクションはシューズ開発だけではない。昨年9月よりスタートさせたランニングコミュニティ「adidas Runners of Tokyo」では毎週3回イベントを開催し、女性限定のイベントも展開している。2月にUltra BOOST X発売を記念して東京・表参道に女性専用のランニングステーション「LOUNGE X」を期間限定でオープンした。更衣室や化粧室を提供し、ウェアやシューズの貸し出しも行っていた。オープニングイベントには2015年世界陸上競技選手権の女子マラソンで銅メダルを獲得した福士加代子、女優・モデルとして活躍する浅見れいな、エレクトロニックミュージックユニット「Young Juvenile Youth」のゆう姫が出席し、花を添えた。

 

 7月8日にはニューヨークのトレッドミルスタジオ「MILE HIGH RUN CLUB」のプログラムを体験できる「adidas-STUDIO X」を開催する。トレッドミルとは室内用のランニングマシンのこと。イベントは都内の「LOUNGE By T&G」で行われ、「MILE HIGH RUN CLUB」の人気コーチによる指導に加え、音楽や照明の演出も施される。新感覚のランニングイベントだ。

 

 室内でランニングマシンを使用してのトレーニングは気候に左右されないとはいえ、景色は一定で、孤独で退屈な作業になる。「今までにないような素晴らしいランニング体験をしてもらいたい」(マリー氏)。「adidas-STUDIO X」では音楽と照明により、非日常空間でのランニング体験を可能とし、コーチが参加者を鼓舞しながらグループでレッスンを行うことで高揚感を味わえる内容となっている。

 

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(写真:今後も様々なニーズに合わせたUltra BOOST Xを発売予定)

 こうしたイベントからもアディダスが強調するコンセプトである「女性」「東京」がより強く伝わってくる。マリー氏は言う。

「私たちは女性に対して一貫性のあるメッセージを定期的に発信していきたいと思っています。メッセージは商品発売というかたちでもありますし、イベントもメッセージの発信になると思います。女性向けのコンテンツのイベントではランニングとヨガを組み合わせてみたり、総合的な体験というかたちでアプローチしています。これからも女性限定のイベントは継続していくつもりです」

 

 東京マラソンなどの市民マラソンをきっかけにしてブームとなったランニング。街中を駆け抜ける女性ランナーは“都心の華”だ。彼女たちが路上に出るきっかけは健康維持やダイエットなどと様々だ。機能性とデザイン性を兼備したUltra BOOST Xが街を彩っている。


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