4月1日(月)

◇準々決勝
 安楽、9安打許すも7奪三振完投
県岐阜商     3 = 001110000
済美(愛媛)    6 = 10001004×

「予想外の逆転勝利」。済美の上甲正典監督がそう振り返る試合は、相手投手の制球難にも助けられ、苦しみながらも何とかモノにした。
 先制点を奪ったのは、センバツ負けなしの済美。1回裏、1死三塁で宇佐川陸(3年)が県岐阜商のエース左腕・藤田凌司(3年)の直球を叩く。打球は二塁手のグラブを弾き、ライト前へと落ちた。“四国の怪物”安楽智大(2年)に幸先よく先制点をプレゼントする。
 しかし、2年生エースは、疲労のせいかピリッとしない。安楽は準々決勝までの2試合で391球22イニングを投げ抜いていた。3、4回にピンチを招くと、内野ゴロの間に1点を与え、逆転を許す。5回にも1点を追加され、済美は2点を追う展開になった。
 済美はその裏、1死一塁で宇佐川が、右中間を破る三塁打を放ち1点差に詰め寄るが、後続は続かない。6回、7回といずれもランナーを塁に出すも、あと1点が届かなかった。
 再三好機を作りながら、2点止まりだった打線も、8回裏に奮起する。県岐阜商3番手の後藤征人(3年)からヒットと四球で1死満塁のチャンスを作ると、済美の上甲監督は代打に林幹也(2年)を送る。林は指揮官の期待に応え、サード強襲の内野安打で同点に追いつく。これで勢いに乗った済美打線は、上田恭裕(3年)が三遊間を破るタイムリーヒットで勝ち越しに成功した。1アウトをはさみ宇佐川、安楽が連続で押し出し四球を選び、3点のリードで最終回を迎えた。
 安楽は9回に3安打を打たれるが、力のある直球を武器に無失点でしのぎ切った。最後まで投げ切った安楽は3試合連続の完投勝利。済美が土壇場の逆転勝利で4強入りを果たした。
 完封リレーで38年ぶりの準決勝進出
高知           2 = 000200000
仙台育英(宮城)   0 = 000000000

 四国王者・高知vs.神宮覇者・仙台育英の好カード。初回はともに得点圏にランナーを進めるが、高知の酒井祐弥(2年)、仙台育英の鈴木天斗(3年)の両右腕が踏ん張り、得点を許さない。
 均衡を破ったのは、高知だった。4回表、連打で1死二、三塁のチャンスを作る。すると、6番・上田隼也(2年)が打席に入ったところで、仙台育英の鈴木が制球を乱し、ワイルドピッチ。思わぬ形で先制点をあげた高知は、さらに四球を選んでランナーを貯めると、前田隆靖(3年)のタイムリー内野安打で加点。2点のリードを奪った。
 リードをもらった酒井は、打たせてとるピッチングで6回を2安打に抑えた。監督の島田達二も「出来過ぎ」と褒める内容で、当初の予定よりも1イニング多く投げ、坂本優太(3年)につないだ。
 一方の仙台育英は、7回に2番手の坂本を攻めたて、2死ながら一、三塁のチャンスを作るも、あと1本が出ず無得点に終わった。最終回にも主将の上林誠知(3年)のヒットから1死一、三塁の好機を迎えるが、阿部涼平(2年)がショートゴロ併殺打に倒れ、ゲームセット。
 高知が投手戦を制し、1975年に全国制覇して以来、38年ぶりにベスト4に入った。