現地時間13日、世界陸上競技選手権ロンドン大会最終日が行われた。男子50km競歩はリオデジャネイロ五輪銅メダリストの荒井広宙(自衛隊体育学校)が3時間41分17秒で2位に入り、同種目日本勢初の銀メダルを獲得した。世界記録保持者のヨハン・ディニズ(フランス)が3時間33分12秒で優勝。3位には初出場の小林快(ビックカメラ)が3時間41分19秒で入った。日本勢W表彰台は競歩初の快挙だった。初出場の丸尾知司(愛知製鋼)は3時間43分3秒で5位入賞。出場3選手が入賞以内に入った。全日程を終え、日本勢はメダル3個(銀1、銅2)獲得。前回2015年北京大会の1個(銅)を上回った。

 

 400mリレーでの銅メダル獲得から一夜明けて、男子50km競歩でもメダル獲得が続いた。エースの荒井が銀メダル。初の世界陸上となった小林も表彰台に上がった。もう1人の初出場・丸尾も5位入賞。W表彰台、全選手入賞は日本競歩史上初の快挙だ。

 

 今大会はマテイ・トス(スロバキア)、ジャレッド・タレント(オーストリア)が欠場。北京大会とリオ五輪の金銀メダリストを欠いたとはいえ、世界記録保持者のディニズやリオ五輪で荒井とメダルを争ったエバン・ダンフィー(カナダ)もいる。決して与し易しというわけではない。

 

 序盤から飛び出したのはディニズ。独歩状態が続き、そのまま逃げ切る戦法だ。荒井、小林らは第2集団を形成し、自分たちのペースを守った。小林はロス・オブ・コンタクト(両足が地面から離れる反則)を取られるなど、何度か集団から離される場面もあったが、前方に位置する荒井に追いついた。

 

 レースはそのままディニズが逃げ切った。3時間33分12秒の大会記録。2位の荒井に8分以上の差をつける圧勝劇だった。荒井は終始安定したペースを、2位で守り抜いた。3位に入った小林のフォローをしつつ、歩く姿は頼もしさすら覚えた。丸尾も前を行く2人を追いかけ、一時は2ケタ落ちた順位を5位にまで巻き返した。

 

 近年の日本競歩の躍進を象徴するような結果となった。レース後、日本国旗を纏った3人の顔は誇らしげだった。

 

(文/杉浦泰介)