5日、日本サッカー協会(JFA)はブラジルW杯出場決定から一夜明け、さいたま市内のホテルで会見を開いた。会見には大仁邦彌会長、アルベルト・ザッケローニ監督をはじめ、26名の代表選手たちが出席し、それぞれ喜びや感謝の思いを語った。また会見後には、11日のW杯アジア最終予選のイラク戦(カタール)、15日から開幕するコンフェデレーションズカップ(ブラジル)のメンバーを発表した。オーストラリア戦に招集した26人から工藤壮人(柏)、駒野友一(磐田)ら3名が外れ、本田圭佑(CSKAモスクワ)、香川真司(マンチェスターU)ら23名が選出された。
 本田のPKによる土壇場の同点ゴールでブラジル行きの切符を獲得したザックジャパン。オーストラリアとの熱戦から一夜明け、指揮官は「ここにいるメンバーだけにとどまらず、これまで戦ってくれた沢山のメンバーたちに感謝の意を述べたい。やはりサッカーという競技はとにかく選手が主人公。彼らなしでは我々スタッフ、監督、フロントの方々がいくら頑張ったとしても、全く成り立たない。とにかく選手たちには感謝している」と、プレイヤーズ・ファーストを強調した。昨日、埼玉へ詰めかけたサポーターに対しては「昨日のスタジアムの雰囲気はチームを後押ししてくれた。サポーターはもはや12人目の選手でなく、12人目、13人目の選手です」との表現で、敬意を表した。そして「ここにいらっしゃるメディアの皆様、3年間も私のことを我慢してくれてありがとうございます」と言って報道陣を笑わせた。

 続いて会見の仕切りを任された長谷部誠(ヴォルフスブルク)は「正直な気持ちはホッとしています。2年以上戦った結果なので、素直にうれしいです」と喜びを口にした。だがキャプテンは、W杯出場決定の余韻に浸るだけでなく、足元を見つめている。「ただ選手自身が一番痛感したのは、世界で勝つためには、自分たちはもっともっと成長しなければいけない」と語った。

 前回南アフリカ大会行きを決めた時、レギュラーどころかベンチにも入れなかった川島永嗣(リエージュ)と香川は今回はスタメンでW杯出場決定の喜びを味わった。守護神の川島は「前回のW杯が決まった時は、スタジアムでピッチを眺めていました。ただ日本代表に対する誇り、(出場を決めた)うれしさは変わりはない。日本の皆さんと喜びを共有できたことはうれしい。この先もW杯で新たな夢を見れるように、やっていきたいという気持ちです」と述べた。 

 一方、10番を背負い攻撃を牽引した香川は「4年前の自分は自信がなくて、ただ代表にいる感じがしていました。今回は主力として、W杯を決めた喜びは素直にあります。ただ個人としてもチームとしても、まだまだ物足りない。もっとレベルアップしていかないと、ブラジルでは厳しい。しっかりと自分を磨いて、夢の舞台で活躍できるようにしたい」と更なる飛躍を誓った。

 左サイドバックの長友(インテル)は危機感を露わにした。「うれしい気持ちというよりも、これから厳しい戦いがはじまる思いの方が強かった」。その要因を長友自身は「自分の低レベルさ」と言う。ただ、彼はそれを“自分にのびしろがある”とポジティブにとらえている。「これからの1年でどれだけ成長できるか楽しみで仕方がないです。僕はこれまで“チームのために”と言ってきましたが、今の自分のレベルではチームのためにはなれない。この1年は、とにかく自分のために走り続けたい。そして1年後、大きく成長した自分で、チームのためになりたいと強く思っています」 

 司令塔の遠藤保仁は、W杯に向けて「日々の練習や試合をいかに意識高くやっていくか。常に自分自身が成長するためにやる。W杯のピッチに立つだけでは満足しない」と抱負を語った。

 エースとして、W杯出場を決める劇的なゴールを決めた本田は、コンフェデレーションズカップでの優勝を目標に掲げている。今の代表に必要なものを問われると、「シンプルに言えば個だと思います。究極は個で試合を決することが、ほとんどなので、もちろん、日本最大のストロングポイントはチームワークなんですけど、それは生まれ持っている能力。自立した選手になって、個を高められるか。この1年、短いは短いんですけど、考え方によっては、まだ1年もあるという見方もできると思います。(それぞれに)やれることはある」と答えた。

【日本代表メンバー23名】
GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
西川周作(サンフレッチェ広島)
権田修一(FC東京)
DF
今野泰幸(ガンバ大阪)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
伊野波雅彦(ジュビロ磐田)
長友佑都(インテル・ミラノ)
内田篤人(FCシャルケ04)
吉田麻也(サウサンプトン)
酒井宏樹(ハノーバー96)
酒井高徳(シュツットガルト)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
長谷部誠(ヴォルフスブルク)
細貝萌(バイエル・レバークーゼン)
本田圭佑(CSKAモスクワ)
高橋秀人(FC東京)
FW
前田遼一(ジュビロ磐田)
岡崎慎司(シュツットガルト)
ハーフナー・マイク(フィテッセ)
乾貴士(アイントラハト・フランクフルト)
香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
清武弘嗣(1FCニュルンベルク)

【日本代表試合スケジュール】

◇W杯アジア最終予選
・6月11日 対イラク代表(カタール・ドーハ)

◇コンフェデレーションズカップ(ブラジル)
・6月15日 対ブラジル代表
・6月19日 対イタリア代表
・6月22日 対メキシコ代表

◇東アジアカップ(韓国)
・7月20日〜28日

◇キリンチャレンジカップ
・8月14日 ウルグアイ代表(ユアスタ)
・9月6日 グアテマラ代表(長居)
・9月10日 ガーナ代表(日産)

◇欧州遠征
・10月11日 セルビア代表(セルビア)
・10月15日 ベラルーシ代表(ベラルーシ)