日本ラグビー協会は18日、女子日本代表の愛称が「サクラフィフティーン」と「サクラセブンズ」に決まったと発表した。この愛称は2月に協会の公式サイトを通じて一般公募。2365通の応募の中から、選手たちも交えた選考委員会を経て選ばれた。6月末のW杯セブンズ(モスクワ)に臨む「サクラセブンズ」スコッドの中村知春キャプテンは会見で「愛称とともにジャパンらしい戦いをして、ロシアでサクラを咲かせたい」と活躍を誓った。
(写真:愛称に合わせて作成されたロゴととも記念撮影する選手たち)
 代表に対する選手たちの熱い思いも詰まった愛称だ。約1カ月間で寄せられた候補には、「じゃじゃ馬ジャパン」「かぐやジャパン」「サンライズD」などさまざまなものがあった。選考では選手たちも1通1通に目を通し、中村キャプテンによると「愛称を背負って世界と戦うにあたって、ともに成長できるものか」「私たちが大切にしているものが盛り込まれているか」を基準に絞り込んだ。

 その過程で共通イメージとしてあがったのが“桜”だった。代表が着る桜のジャージは、すべてのラグビー選手にとっての憧れ。実際、集まったネーミングでも「さくらガールズ」「リトルブロッサム」といった桜にまつわるネーミングが最も多かった。桜を使用した代表チームの愛称では、既にホッケー女子代表の「さくらジャパン」がある。そこで差別化を図るため、ラグビーの要素を盛り込んだ「サクラフィフティーン」「サクラセブンズ」でまとまった。

「桜の花は一輪一輪は小さいが、それが1本の幹になると人の心を大きく動かす花になる。2365通の皆さんの思いを胸にW杯セブンズ、3年後の五輪に向けて成長していきたい」と中村キャプテンは語る。今回、選手たちは愛称を表すロゴ(写真)の制作過程でも意見を出し合った。結果、ジャージにあしらわれた凛とした桜のエンブレムとは異なり、花が丸みを帯びた親しみやすい絵柄になっている。夢を実現する様子を開花で表現しており、昨年のアジア4カ国対抗の代表メンバーだった山本さやかは「桜が笑っているような絵になった。皆で勝って、たくさんの笑顔が見られるように頑張っていきたい」と、うれしそうにロゴを見つめた。

 女子は直近ではサクラセブンズが6月29日、30日のW杯セブンズでトップ6入りを狙う。サクラフィフティーンは2014年のフランスW杯への出場権をかけたアジア予選が年内に行われる予定だ。そして、16年のリオデジャネイロ五輪出場に向けたサクラセブンズの戦いも本格化する。

 五輪での金メダルが彼女たちの大きな目標だ。まだまだ世界の壁は厚い。たが、その壁を打ち破るべく、「世界一の運動量」「世界一のチームワーク」をテーマに、泥まみれ、砂まみれになってトレーニングを重ねている。「2000通も応募が来て、私たちに興味をいただいていることに勇気をもらいました。つらい時の原動力になる」と長年、代表を引っ張っている鈴木彩香は感謝する。

 男子15人制のエディージャパンは15日のリポビタンDチャレンジで強豪・ウェールズに初勝利をあげた。ほぼ満員となった東京・秩父宮ラグビー場のスタンドで、選手たちも新たな歴史の瞬間を目撃した。「すごい人でうらやましかった。桜を着て戦っている以上、私たちもそのステージに近づきたい」と鈴木も決意を新たにしている。
 
 サクラフィフティーン、サクラセブンズが、まさに桜のごとく多くの人々に愛され、称賛されるべく、彼女たちはそれぞれにつぼみをほころばせ、世界で満開の花を咲かせる。