メジャーリーグの第84回オールスターゲームが17日、ニューヨークのシティ・フィールドで行われた。試合は4回、アメリカンリーグが1点を先制。5回、8回にも1点ずつを追加すると、10人の投手リレーでナショナルリーグを3−0で完封した。日本人で球宴メンバーに選ばれたダルビッシュ有(レンジャーズ)、岩隈久志(マリナーズ)は登板がなかった。ア・リーグはオールスターでの連敗を3でストップし、4年ぶりの勝利。MVPには今季限りでの引退を表明し、1回をパーフェクトに抑えたマリアノ・リベラ(ヤンキース)が選ばれた。
 2番手セール、2回をピシャリ
アメリカン・リーグ   3 = 000110010
ナショナル・リーグ  0 = 000000000
勝利投手 セール(ホワイトソックス)
敗戦投手 コルビン(ダイヤモンドバックス)
セーブ   ネーサン(レンジャーズ)

 年に1度の夢舞台、ダルビッシュと岩隈がマウンドに立つことはなかった。ダルビッシュは右肩付近の張りを訴え、故障者リストに入っている状態。岩隈も前半の最終戦に先発したため、登板間隔を考慮された。それでもスタープレーヤーが一同に集まる場で、ダルビッシュ、岩隈とも他球団の選手とベンチで会話するなど、お祭りを楽しんでいた。

 試合はナ・リーグがシティ・フィールドを本拠地とするメッツのマット・ハービーを先発に立てた。初回、いきなりマイク・トラウト(エンゼルス)に一塁線を破られ、無死一、二塁のピンチを招く。だが、打率、打点がリーグトップのミゲル・カブレラ(タイガース)を空振り三振に仕留めると、クリス・デービス(オリオールズ)、ホセ・バティスタ(ブルージェイズ)の中軸を抑え、点を与えない。

 一方、ア・リーグの先発、マックス・シャーザー(タイガース)も開幕13連勝を収めた実力を発揮し、3者凡退の立ち上がりを見せる。ハービーも2回は3人でア・リーグ打線を切ってとり、序盤は両リーグとも無得点の投手戦となった。

 均衡が破れたのは4回だ。ア・リーグ先頭のカブレラが右中間を破って二塁へ。デービスも続いて、無死一、三塁とチャンスを広げる。ここでバティスタがセンターへの大きな犠牲フライを放ち、1点を先行する。ア・リーグは5回にもアダム・ジョーンズ(オリオールズ)、ジョー・マウアー(ツインズ)の連打で再び無死一、三塁と好機をつくり、J.J.ハーディ(オリオールズ)の内野ゴロの間に1点を追加した。

 反撃したいナ・リーグだが、防御率トップのフェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)、勝利数トップのマット・ムーア(レイズ)ら次々と登場するア・リーグのトップクラスの投手陣から得点を奪えない。7回に地元メッツのデービッド・ライトがレフト前ヒットで出塁。スタンドは大いに盛り上がったが、ア・リーグはブルージェイズの左右のセットアッパー、ブレット・セシル、スティーブ・ディレイバーをつぎこんで後続を断ち、スコアボードにゼロを入れた。

 そして、この日、一番のハイライトは8回にやってきた。ア・リーグがジェーソン・キプニス(インディアンス)のタイムリーで3−0とリードを広げ、その裏のマウンドには背番号42がブルペンから小走りで現れる。

 長年、ヤンキースのクローザーとして君臨するリベラだ。登場曲が流れると、それだけでファンは総立ちになり、拍手で43歳の大ベテランを迎えた。他の選手たちもリベラがマウンドに上がるまではフィールドに出るのを控え、偉大な選手へのリスペクトを示す。今季限りでの引退を決断し、球場こそ違えど、ニューヨークで迎える最後のミッドサマー・クラシック。まさに真打ちの登場だった。

 主役は期待に違わぬ快投を見せる。ジーン・セグラ(ブルワーズ)を代名詞のカットボールでセカンドゴロに打ち取ると、その後も伝家の宝刀を連発。ストライクゾーンからボールゾーンに鋭く変化するボールで、アレン・クレイグ(カージナルス)にレフトフライ、カルロス・ゴメス(ブルワーズ)にショートゴロを打たせ、3人で攻撃を終わらせる。何事もなかったかのようにベンチに引き上げる背中を、スタンドは再びスタンディング・オベーションで見送った。

 ラストイヤーとはいえ、今季のリベラは既に30セーブをあげ、防御率は1.83。ヤンキースの守護神として大車輪の働きをみせている。現役最後の望みはワールドシリーズのマウンドで優勝の瞬間を迎えること。最高の花道に向けて、後半戦もカットボールがうなりをあげる。