「マツダオールスターゲーム2013」第1戦が19日、札幌ドームで行なわれた。初回、全パが糸井嘉男(オリックス)のタイムリーで先制したが、7回表、全セが中村紀洋(横浜DeNA)の同点打で試合を振り出しに戻した。結局、試合はそのままドローに終わる。“二刀流”デビューを果たした大谷翔平(北海道日本ハム)は投手としては3番手として1回2安打無失点、打者としては2打数無安打に終わった。

◇第1戦
 3回無失点の澤村がMVP(札幌ドーム)
全セ   1 = 000000100
全パ   1 = 100000000
 前田健太(広島)と田中将大(東北楽天)という、ともに“黄金世代”で球界を代表するエース同士の対戦となった第1戦。まずは11年沢村賞、12年最多勝利投手、そして今季は無傷の開幕13連勝と波に乗っている田中が、初球から150キロ台の直球で簡単に三者凡退に切って取る。

 一方その裏、ファン投票1位を獲得し、史上6人目となる球宴3勝目を狙う前田健太(広島)も田中に負けじと直球勝負を挑む。だが1死後、その直球を松田宣浩(福岡ソフトバンク)にセンターへ運ばれる。松田は一気に三塁まで進み、次打者・糸井嘉男(北海道日本ハム)のタイムリーで先制のホームを踏んだ。

 田中は2回表も一人のランナーも出さず、パーフェクトピッチングでマウンドを降りた。田中の後を引き継いだ吉川光夫(日本ハム)も、2イニングを無失点に封じた。そして5回表、“二刀流”をいくルーキー大谷翔平(日本ハム)がマウンドに上がると、札幌ドームのボルテージが最高潮に達した。

 大谷は、まずは先頭のブランコ(横浜DeNA)を全球150キロ台の直球でセカンドゴロに打ち取る。続く中村紀洋(同)の2球目にはプロ入り最速タイとなる157キロを計測すると、スタンドからどよめきが起こった。結局、中村を空振り三振に切って取る。長野久義(巨人)、丸佳浩(広島)には連打を浴びたものの、それでも直球で挑み、最後は廣瀬純(広島)をサードフライに打ち取った。

 そして6回表、今度は大谷がレフトのポジションにつき、オールスターでも“二刀流”を実現させた。さらにマウンドには大谷の母校、花巻東の先輩である菊地雄星(埼玉西武)が上がり、オールスターならではの豪華な投手リレーとなった。大谷は守備でも沸かせた。1死二塁、バレンティン(東京ヤクルト)のレフトライナーを捕球した大谷はノーステップですぐさま二塁へ送球。二塁ランナー西岡は間一髪での帰塁となり、苦笑い。スタンドからも大谷のプレーに拍手が寄せられた。

 大谷はその裏、打者としてもオールスターデビューを果たす。2死1塁の場面、今年40歳の三浦大輔(DeNA)との21歳差対決となった。大谷は4球目、三浦の超スローカーブを打ちにいく。しかし、待ちきれずにジャストミートとはならず、ボテボテのピッチャーゴロに倒れた。

 7回表、全セが意地を見せた。先頭のブランコが四球で出塁すると、大島洋平(中日)を代走に送る。その大島がすかさず二盗に成功すると、来週で40歳を迎えるベテラン中村紀が全パの5番手・矢貫俊之(日本ハム)の甘く高目に入った直球をセンターへ弾き返した。大島は俊足を飛ばして、一気にホームへ。1−1の同点に追いついた。

 そして、最後に盛り上げたのも大谷だった。9回裏、2死無走者で2打席目を迎えた大谷は、セ・リーグの首位巨人の守護神・西村健太朗(巨人)を相手にファウルで粘る。しかし、最後はレフトフライに倒れ、この試合は引き分けに終わった。

 MVPには2番手として3イニングを2安打無失点に抑えた澤村が選出された。また、敢闘賞には先制タイムリーを放った糸井が選ばれた。第2戦は明日20日、神宮球場で行なわれる。