「マツダオールスターゲーム2013」第3戦が22日、いわきグリーンスタジアムで行なわれた。全セは5回に丸佳浩(広島)の二塁打でチャンスを作ると、相手のエラーなどで先制する。対する全パは8回に高卒ルーキーの大谷翔平(北海道日本ハム)のタイムリーで同点に追いつくと、内川聖一(福岡ソフトバンク)の2点適時打で逆転した。2点のリードを奪った全パは9回を青山浩二(東北楽天)が抑え、3対1で勝利。対戦成績を1勝1敗1分けのタイで終えた。通算では全パの79勝74敗10分けとなった。

◇第3戦
 内川、決勝打放ちMVP獲得(いわき)
全セ   1 = 000010000
全パ   3 = 00000003×
勝利投手 益田(1勝0敗)
敗戦投手 山本哲(0勝1敗)
セーブ   青山(1S)
 福島で初めて行われたオールスター。復興支援試合と銘打たれた今季の球宴最終戦は、全パ・木佐貫洋(日本ハム)、全セ・能見篤史(阪神)の両先発で幕を開けた。木佐貫が直球主体のピッチングで2回をゼロに抑えれば、対する能見はランナーを許しながらも要所を締め、2回無失点。2番手の全パ・西野勇士(千葉ロッテ)、全セ・大竹寛(広島)も得点を許さず、序盤は投手戦の様相を呈した。

 均衡を破ったのは、5回だった。先頭打者の丸が、この回から登板した3番手・岩崎翔(福岡ソフトバンク)の高めの真っすぐを振り抜いた。打球はセンターの頭上を越えフェンス直撃のツーベース。ここで丸はセ・リーグ盗塁トップ(25)の足で魅せる。1死後、藤井彰人(阪神)のセンターフライの間にタッチアップで三塁へ向かう。強肩の外野手・陽岱鋼(北海道日本ハム)に勝負を挑んだ。丸のスピードと陽のレーザービームの対決は、丸が勝利。さらに陽の送球が逸れると、一気にホームを陥れ、生還。全セは丸の足で先制点を奪った。

 能見、大竹、三嶋一輝(横浜DeNA)の全セ投手陣の前に沈黙していた全パ打線だが、8回に反撃に転じる。先頭の陽がライト線へツーベースを放ち、出塁。今江のライトフライで三進すると、バッターボックスには、“二刀流ルーキー”の大谷。マウンドの山本哲哉(東京ヤクルト)は全球ストレートで19歳と真っ向勝負を挑んできた。ここできっちり結果を残すところが並のルーキーではない。カウント2−2からの5球目、インコースの直球に差しこまれながらもセンターへ弾き返す。打球はセカンドの寺内崇幸(巨人)が飛びつくも、及ばずセンター前へ抜けた。三塁走者の陽がホームへ還り、全パが同点に追いつく。

 勢いに乗る全パは続く4番の中田翔(日本ハム)がヒットでつなぎ、1死一、二塁のチャンスを演出。迎えるバッターは、内川だ。2日前の第2戦で2度好機に打席が回ってきたが、2つの併殺打に倒れていた。「何とか決めたい」と雪辱を期していた球界を代表するヒットメーカーは、いつも通りの積極的なバッティングを貫いた。「初球からいくのが僕のスタイル」と、山本の変化球を叩く。打球は左中間を破り、2人が還る2点タイムリーツーベース。大谷、内川の適時打で全パが2点を勝ち越した。

 9回のマウンドには、東北楽天の青山が登板。全セは先頭の長野久義(巨人)がヒットで出塁し、1死後、代打・中村紀洋(横浜DeNA)が登場した。オールスター通算5本塁打のお祭り男の一発を期待し、球場は沸いた。しかし、ここで意地を見せたのは全パの締めくくりを任された青山だ。直球で中村をピッチャーゴロゲッツーに切ってとり、ゲームセット。3対1と全パが逆転勝利を収めた。

 MVPには決勝打の内川、敢闘賞には同点打の大谷、3回無失点と好投した大竹、2安打に好守も見せた新井貴浩(阪神)が輝いた。今回のオールスターは3試合を通じて、1本もホームランが出なかった。これは60年ぶり2度目という記録。“飛ばないボール”の統一球から仕様変更し、ホームラン数が増えたシーズン中とは違った結果に、少し寂しい球宴となった。