2日、第94回東京箱根間往復大学駅伝競走は、東京・大手町から神奈川・芦ノ湖までの往路5区間(107.5km)で行われ、東洋大学が4年ぶり6度目の往路優勝を果たした。東洋大は1区からトップに立つと、先頭のまま5時間28分29秒でゴールテープを切った。2位は36秒差で3連覇中の青山学院大学、3位には1分56秒差で昨年3位の早稲田大学が入った。

 

 4連覇を目論む青学大、今シーズンの出雲駅伝を制した東海大学、全日本大学駅伝優勝の神奈川大学。その3強を押し退けて往路を制したのは東洋大だった。5区間中3区間を1年生という編成。「思い切ったオーダーですが、見事に選手が期待に応えてくれた」と酒井俊幸監督が称えたように、若き力が躍動した。

 

 1区は21人の集団を順天堂大学の栃木渡(4年)が引っ張る展開でスタートした。1km約3分の落ち着いたペースで15km以降も続いた。各校が牽制し合う中、17km手前で飛び出したのが青学大の鈴木塁人(2年)だ。これに呼応するように東洋大の西山和弥(1年)が続き、先頭を窺う。縦の配列に変わる集団。六郷橋の上り坂で西山が集団を突き放しにかかる。日本インカレの1万mで日本人トップの3位に入った西山は、そのまま先頭で襷を繋ぐ。神大の山籐篤司(3年)、駒澤大学の片西景(3年)ら実力者を抑えて区間賞を獲得した。1年生の1区区間賞は、西山の「憧れの存在」という早大の大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)以来7年ぶり。2位には15秒差で國學院大学、3位には17秒差で駒大が続いた。

 

 エースが集う花の2区は神大の鈴木、順大の塩尻和也(3年)、山梨学院大学のドミニク・ニャイロ(3年)が順当にエントリー。昨年区間賞の鈴木は先頭から29秒差の6位で襷を受けると、快調なペースで前を追いかける。3kmまでで4人を抜いた。2位集団は鈴木に青学大の森田歩希(3年)、東海大の阪口竜平(2年)が続く。しかし、先頭の東洋大・相澤晃(2年)との差はなかなか縮まらない。相澤は「夢にまで見た」という初の箱根駅伝で、区間3位の快走を見せた。2位との差を広げて襷を3区の山本修二(3年)に渡した。区間賞は鈴木に競り勝って2位に浮上した森田、13人抜きで4位にジャンプアップしたニャイロが、歴代8位の1時間7分15の好記録で獲った。

 

 3区は東洋大と青学大のマッチレースになった。東洋大の山本を青学大のダブルエースの1人、田村和希(4年)が追う展開。田村は戸塚中継所で22秒あった差を遊行寺で10秒縮める。10km通過で、その差は10秒となった。ここから東洋大の山本が意地を見せる。下級生中心で往路を組んだ東洋大で唯一の上級生。後輩の頑張りに「最低限区間賞と思っていた」と燃えていた。表情こそ険しいものの、ペースを崩さない。「攻めの走りができた」と中盤以降はむしろ青学大との差を広げる。1時間2分17秒で歴代5位のタイムで区間賞。2位との差を46秒にして、4区の吉川洋次(1年)の背中を押した。

 

 青学大を引き離しにかかる東洋大。吉川、田中龍誠の1年生コンビが4区、5区を任される。軽快な走りでリードを広げる吉川は1時間2分22秒をマークした。区間賞は神大の大塚倭(4年)にわずか1秒差で譲ったものの、昨年から4区は距離変更となったため、新しくなった区間記録を塗り替える好タイムで田中へと繋ぐ。山上りの5区を走る田中は青学大の竹石尚人(2年)の猛追を受けたが、トップでゴールテープを切った。フィニッシュタイムの5時間28分29秒は昨年の青学大を5分以上更新する往路記録だ。

 

 4年ぶりの総合優勝を目指す東洋大の酒井監督は「わずかでも先頭でスタートできる優位性がある。久しぶりの復路1番手のスタートになりますので、思い切っていきたいと思います」と力強く語った。往路4連覇を逃した青学大だが、6区には山下りのスペシャリスト小野田勇次(3年)がいる。さらにはダブルエースの1人、下田裕太も補欠で控えている。逆転のチャンスは十分にある。東洋大が逃げ切るか、青学大が抜き去るか。復路は朝8時、箱根の山下りからスタートする。

 

 往路の順位は以下の通り。

(1)東洋大(2)青山学院大(3)早稲田大(4)拓殖大(5)法政大(6)城西大(7)日本体育大(8)順天堂大(9)東海大(10)中央大(11)中央学院大(12)帝京大(13)駒澤大(14)國學院大(15)神奈川大(16)山梨学院大(17)大東文化大(18)国士舘大(19)東京国際大(20)上武大(※)関東学生連合

※OP参加のため順位なし

 

(文/杉浦泰介)