ボクシングのロンドン五輪男子ミドル級金メダリストの村田諒太(三迫)が25日、東京・有明コロシアムでプロデビュー戦に臨んだ。OPBF東洋太平洋ミドル級王者・柴田明雄(ワタナベ)との73キロ契約での6回戦は、村田が1Rに早々とダウンを奪って圧倒し、2R2分24秒TKO勝ちを収めた。また神奈川・スカイアリーナ座間で行われた日本ライトフライ級タイトルマッチでは、挑戦者の井上尚弥(大橋)が、王者の田口良一(ワタナベ)を3−0の判定で破り、国内最短タイとなるプロ4戦目でのベルト獲得に成功した。
(写真:1Rから右ストレートが炸裂! 衝撃デビューを飾った)
 東洋太平洋王者を相手に完勝した。
 立ち上がりからプレッシャーをかけ、ワンツーを次々とヒット。ガードを固めて柴田の反撃を防ぐと、1Rの終盤には相手のパンチに合わせ、右を伸ばして顔面をとらえる。プロ29戦のキャリアを持つボクサーがコーナーポストに吹っ飛んだ。

 このダウンで主導権を握った村田は、2Rも攻勢を仕掛ける。右を何度も顔面に当てて柴田をぐらつかせる一方的な展開に、レフェリーが試合を止めた。
「ジャブに反応できなかった。何もできなかった」 敗れた柴田は悔し涙をうかべながら、力の差を認めざるを得なかった。

 アマチュアでは133戦を戦い、五輪金メダルの実績を誇る村田もプロでの初めてのリングに不安はゼロではなかった。ヘッドギアをつけず、頭を下げるなどアマチュアでは反則となる行為もプロではOKとされる。「薄いグローブで打たれるとパンチが強かった。プロの厳しさを知った」と本人もアマとの違いを肌で感じた。

 それでも、華々しいKOデビューに村田自身もホッとした様子だ。
「デビュー戦で東洋チャンピオンが相手。80点はもらっていいと思う」
 自らに合格点をつけ、笑顔をみせた。

 もちろん、本人も語ったように、まだ「スタートラインに立ったばかり」。試合後はミドル級の世界王者の名前をあげ、「客観的に(WBO王者のピーター)クイリン、(WBA王者のゲンナディ・)ゴロフキンに勝てるかと言ったらそうではない」と高みを見据えた。

 今回のデビュー戦を前に村田は世界的なプロモーターのトップランク社と契約。ボブ・アラムCEOも米国から駆けつけた。勝利後のリング上ではアラムCEOに「あなたと一緒に世界チャンピオンになりたい」と語りかけたという。日本のみならず海外からも大きな注目を集め、プロでも頂点への道を邁進する。