世界柔道選手権が26日、ブラジルのリオデジャネイロで開幕し、女子48キロ級の浅見八瑠奈(コマツ)は決勝でウランツェツェグ・ムンフバット(モンゴル)に一本負けし、大会3連覇を逃した。男子60キロ級では初出場の高藤直寿(東海大)が決勝でアマルトゥブシン・ダシダワー(モンゴル)に優勢勝ちして初優勝を収めた。
 まさかのロンドン五輪代表落選から1年、今度は3連覇が有力視されていた世界柔道で、まさかの敗北だ。
 決勝まで順当に勝ち上がった浅見が一瞬のスキを突かれた。開始から2分過ぎ、優位に試合を進めながら格下のモンゴル人選手に巴投げで体勢を崩されると、寝技で右腕をがっちりとつかまれた。十字固めを決められては「参った」と自ら負けを認めるしかなかった。

 3回戦までは3試合連続で一本勝ちし、準決勝も技ありを奪っての優勢勝ち。2010年から外国人に対しては42連勝と無敵の強さを誇り、今年2月のグランドスラム・パリ大会も制していた。世界柔道で完全復活をアピールしたいところだったが、思わぬかたちで足元をすくわれた。

 一方、ロンドン五輪で初の金メダルゼロに終わった男子は新星が現れた。
 20歳、大学2年の高藤だ。左太ももをケガしながら、5試合を勝ち抜いた。準決勝では韓国のキム・ウォンジンに対し、肩車と大腰で合わせ技一本。決勝でも肩車で相手を浮かせて主導権を奪い、相手が2度の指導を受けて優勢勝ちした。

 軽量級にもかかわらず、豪快な技を繰り出せるところが持ち味。過去には足取りの違反で反則負けを喫したことがあったが、足取りが全面禁止となった新ルールにはきっちり対応した。世界柔道で日本勢が同階級を制したのは五輪3連覇を果たした野村忠宏以来。男子代表の井上康生監督とは、東海大相模高、東海大と同じ経歴で、かねてから指導を受けており、最高の“恩返し”となった。