バレンティン、日本タイ記録55号!
東京ヤクルトのウラディミール・バレンティンが11日、神宮球場での広島戦で今季55号ホームランを放ち、シーズン日本記録に並んだ。6回の第3打席、広島先発・大竹寛の外角ストレートを逆らわずに弾き返し、ライトスタンドへ運んだ。55本塁打を放ったのは王貞治(巨人、1964年)、タフィ・ローズ(大阪近鉄、01年)、アレックス・カブレラ(西武、02年)に続き、史上4人目。チーム122試合目、自身出場109試合目での到達は史上最速となった。(写真:試合後、55号のホームランボールを手に笑顔をみせる)
高々と舞い上がった打球がスワローズファンで埋まったライトスタンドの前方に飛び込んだ。記録に並ぶアーチを描いたカリブの怪人は一塁ベースをまわったところで右拳を突き上げる。一塁側、ライト側のみならず、三塁側のカープファンも総立ちとなり、記念の一発に拍手を送った。
「なんとかストライクゾーンのボールを打ってやろうとと思っていた。1、2打席目は良くなかったので、自分の打てるボールを待っていた」
初回の1打席目、3回の第2打席は「力が入ってしまった」と振り返るショートゴロ。だが、そこでバッティングを修正できるのが、今季、コンスタントにホームランを打てている要因だ。
「コンパクトに逆らわず打つ」と心がけた第3打席は6回に巡ってきた。2死走者なし、カウント1−1からの3球目は読みとは異なる外角ストレート。だが、やや高くなった分、「ボールが飛ぶんじゃないか」と最短距離でバットを合わせた。バレンティンの打球は当たれば飛ぶ。一瞬、ライトフライかと思われた当たりはグングン伸びて、フェンスを越えた。
今季、大竹からは4本目のホームランと相性がいい。過去、王の記録に並んだローズやカブレラは54号から55号まで間が空いたが、バレンティンは前夜の54号に続く連発で決めた。「今日、打てるかは分からなかったが、そういった数字がどこかで自信になっていた」との余裕が本人を後押しした。
8回の第4打席は四球で歩き、一気に記録更新とはならなかったものの、残りは22試合。金字塔を打ち立てるのは時間の問題と言ってよい。今後は、いつ、その瞬間が訪れるかにすべての野球ファンの注目が集まる。12日は引き続き、神宮での広島戦。同カードでは55本中14本を稼いでおり、相性がいい。しかもホームの神宮では同一球場で歴代最多となる34本をスタンドに叩きこんでいる。
12日には故郷から母親も来日予定で、バレンティンは56号ホームランの達成日を聞かれて「tomorrow」と笑顔で宣言した。
「今日のホームランで張り詰めた緊張感が収まった。明日からは平常心で、もっとリラックスして臨める」
9月頭には5試合ノーアーチが続き、「記録へのプレッシャーか」と騒がれたが、もう心配は無用だ。“世界の王”が東京五輪の年にマークし、以来49年間、破られなかった大記録が塗り替えられる日は目前に迫っている。
(石田洋之)