テニス楽天ジャパンオープン4日目、錦織圭が世界ランク24位のフェリシアノ・ロペス(スペイン)と対戦した。接戦となった第1セットをタイブレークの末に奪った錦織は、第2セットは1ゲームも落とさずに22分で決着をつけ、ストレート勝ちで準々決勝進出を決めた。
 タイブレークでトップギアに

「サーブがうまく打てなかったし、足も動いていなかったので、いい立ち上がりではなかった」と錦織。だが、相手のロペスもエンジンがかかっておらず、第1セットは3ゲーム目まで互いにブレークが続くという展開となった。ゲームカウント2−1と錦織リードで迎えた4ゲーム目、錦織はラブゲームで、この試合初めてキープし、3−1とリードを広げた。これで錦織に流れが傾くかと思われたが、5、6ゲーム目は錦織のミスが目立ち、ロペスが連取して3−3と並んだ。7ゲーム目以降は互いにキープし続け、結局決着がつかずにタイブレークにもつれこんだ。

 そして、このタイブレークが、錦織にとってキーポイントになったという。「それまでなかなか気持ちが乗っていくことができなかったが、タイブレークに入って、しっかりとギアを上げて集中した」錦織は、確実なプレーでポイントを積み重ねていった。ロペスも終盤に粘りを見せて追い上げたものの、最後は錦織がサービスエースで締めて、このセットを奪った。

 続く第2セット、集中力を高める錦織に対し、ロペスは徐々に精彩を欠いたプレーが目立つようになる。3ゲーム目からは凡ミスが増え、明らかに動きにキレがなかった。実はここ数週間、腰痛に悩まされているという。得意のサーブで打開しようとするも、ファーストがなかなか入らず、セカンドを錦織に叩きつけられ、苦戦を強いられた。錦織は相手の変化にも躊躇することなく、一気にたたみかけ、わずか22分で、このセットを奪ってみせた。

 ストレート勝ちを収めた錦織だが、試合後、勝利の喜びは感じなかったという。
「2回戦を勝っても、全然嬉しくなかった。ディフェンディングチャンピオンということで、いい意味で目標が高くなっている。もっと上にいかないと喜びはわかないのではないかと思う」
 日本人男子としては最多となる3度のツアー優勝を味わっている錦織。意識の高さも世界トップクラスだ。

 明日の準々決勝の相手は、世界ランク17位のニコラス・アルマグロ(スペイン)だ。
「今日の試合を見ても、相手はフラットでどんどん打ってくるので、明日はハードなストローク戦になると思う。相手と同じように打つだけでは打ち負けてしまうかもしれないので、緩急をつけていきたい」
 パワーテニスに対する錦織の“技”に注目したい。

<2回戦>
錦織圭2(7−6、6−0)0フェリシアノ・ロペス

(文・写真/斎藤寿子)