中日の次期監督に谷繁元信捕手が就任することが内定した。谷繁は現役を続行し、選手兼任監督となる。またチーム再建へ、2004年からの8年間で4度のリーグ優勝を達成した落合博満元監督がゼネラルマネジャー(GM)に就任、落合監督の下で参謀役を務めた森繁和氏がヘッドコーチとなる見通しだ。プロ野球界のプレーイングマネジャーは、06年から2年間指揮を執った東京ヤクルトの古田敦也監督以来、7年ぶりとなる。
 12年ぶりのBクラスに沈んだチームの立て直しへ、強いオレ竜を支えた“切り札”が投入される。
 新監督となる谷繁は今季、捕手では3人目となる通算2000安打を達成。出場試合数も2900試合に伸ばし、歴代2位に躍り出ており、球界を代表する名捕手だ。横浜時代には98年の日本一にも貢献。02年に中日へ移籍してからチームはAクラスが続いており、まさに扇の要としてドラゴンズを牽引してきた。

 谷繁新監督をバックアップするのは、落合新GMだ。監督時代は球団初の連覇を含む4度のリーグ制覇に導き、07年には53年ぶりの日本一にも輝いた。大型補強に頼らず、チーム力の底上げによって常勝軍団をつくりあげた手腕をフロントで発揮する。さらに初めて指揮を執る新指揮官を現場で補佐する役割が森新ヘッドコーチだ。落合政権では投手コーチ、ヘッドコーチなどを歴任。投手起用に関しては落合監督から全権を任され、強力投手陣をつくりあげた。中日は今季のチーム防御率がリーグ4位の3.81と投手王国に陰りがみえており、テコ入れが期待される。

 とはいえ、プレーイングマネジャーは難しいポジションだ。06年、07年とヤクルトを率いた古田監督も初年度こそ3位だったが、2年目は最下位に低迷して現役を引退。監督も辞任した。就任時の古田監督は40歳で、自身の後継者を含めた若手への切り替えも求められ、選手としての出場は1年目が36試合、2年目はわずか10試合だった。

 谷繁新監督も、この12月には43歳。抑えの岩瀬仁紀、中軸の和田一浩、二遊間の荒木雅博、井端弘和といった主力もベテランの域に達しており、世代交代も大きな仕事となる。選手と監督のバランスをどのように保ちながら、強いチームに再生させるのか。落合−谷繁体制の下、フロントと現場が一体になった戦略が求められる。

>>二宮清純レポート、谷繁元信「落合博満前監督から学んだこと」はこちら(2012年1月、Sportsプレミア掲載)
>>森繁和×二宮清純「今だから話せるオレ竜の真実」はこちら(2012年4月、Sportsプレミア掲載)