12日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが開幕した。初回に井口資仁の先制弾で勢いづいたロッテが、16安打11得点の猛攻を見せ、投げては5投手の継投で西武打線を1点に抑えて大勝。ファイナルステージ進出に王手をかけた。

◇ファーストステージ第1戦
 井口、2安打3打点の活躍(ロッテ1勝0敗、西武ドーム)
千葉ロッテ   11 = 102111050
埼玉西武    1 = 000010000
勝利投手 西野(1勝0敗)
敗戦投手 岸(0勝1敗)
本塁打  (ロ)井口1号ソロ、サブロー1号ソロ、加藤1号3ラン
       (西)中村1号ソロ
 大方の予想を覆すかたちで、ロッテが投打に圧倒し、シーズン終盤での屈辱を晴らした。その起爆剤となったのが、38歳のベテランだった。初回、西武の先発・岸孝之は簡単に2死を取り、幸先よいスタートを切ったかに思われた。続く井口資仁に対しても得意のカーブで2ストライクに追い込む。ところが、次のストレートがアウトローに構えたキャッチャー炭谷銀仁朗のミットから大きく外れ、真ん中高めに入った。これをメジャー経験もある井口は見逃さなかった。迷いのないスイングで放たれた打球は大きな弧を描いて西武ファンが陣取るレフトスタンドへ。ベテランの一振りでロッテが流れを引き寄せる。

 一方、西武は2回裏、先頭の浅村栄斗にチーム初安打が出て、西武ドームに反撃のムードが漂う。だが、秋山翔吾、中村剛也と倒れ、さらに一塁ランナー浅村がロッテの先発・古谷拓哉の巧みな牽制にひっかかり、挟殺となった。

 3回表、1死一、三塁からあわや3ランかと思われた井口の犠牲フライで1点を追加したロッテは、さらに2死二塁から今江敏晃にもタイムリーが出て、その差を3点とした。4回表にはサブローにも一発が出て、完全に主導権を握った。

 早めに追いつきたい西武は4回裏、最大のチャンスを迎えた。先頭の片岡治大が内野安打で出塁する。片岡は次打者・栗山巧への1球目、走る素振りを見せる。これが目に入り、タイミングを狂わせられたのか、古谷は栗山を死球で出してしまう。無死一、二塁のチャンスに浅村。2回表のミスを取り返したい浅村だったが、厳しい内角球で腰を引かせられた後の6球目、古谷の得意のチェンジアップをひっかけてダブルプレーに終わった。次の秋山もセンターフライに打ち取られ、三塁まで進んだ片岡を返すことができなかった。

 打線がかみ合わない西武を尻目に、ロッテは5回表、井口の3打点目となるタイムリーで1点を追加した。

 5回裏、先頭の中村が西武ファンが待つレフトスタンドに中村らしい「これぞホームラン」という大飛球を放ち、1点を返した。さらに1死一、二塁から、未だ無安打と古谷を苦手としているヘルマンが粘って四球を選び、満塁とした。すると、ロッテベンチが早くも動く。好投を続けてきた古谷から2番手・西野勇士にスイッチした。このロッテ伊東勤監督の采配が吉と出る。西野は片岡を見逃し三振、そして栗山をセンターフライに打ち取り、ベンチの期待に見事に応えた。

 逆に相手の勢いを止められなかったのが、西武の2番手・大石達也だ。6回表、先頭のサブローを四球で出すと、1死から鈴木大地の内野ゴロの間にサブローが二塁へ。続く里崎智也に内角高めを強引に引っ張られ、1点を失う。さらに根元俊一にもヒットを打たれて1死一、三塁となったところで降板となった。

 6回表にも1点を追加したロッテは、8回表にはルーキー加藤翔平のCS初打席初安打となる3ランが飛び出すなど、一挙5点を挙げた。

 少しでもいいかたちで第2戦につなぎたい西武は9回表、5番手・十亀剣がロッテ打線としては2回以来となる三者凡退に切って取る。そしてその裏、ロッテの5番手・藤岡貴裕から秋山が自身CS初となるヒットで出塁。さらに藤岡の暴投で二塁へ進んだ。しかし、後続が続かなかった。中村、坂田と倒れ、最後は途中出場のルーキー金子侑司がショートフライに終わり、追加点を挙げることができなかった。

「(レギュラーシーズンを)3位で終わって失うものは何もなかったので積極的にやった」という井口の言葉通り、見事な戦いぶりを見せたロッテ。明日の第2戦に勝てば、シーズン3位からCSで西武、ソフトバンクを倒し、日本一となった2010年以来となるファイナルステージへと進出する。一方、後がなくなった西武は、1日で気持ちを切り替え、破竹の8連勝で4位から2位に浮上したレギュラーシーズン終盤の勢いを再び取り戻すことができるか。第2戦の先発は西武が岡本洋介、ロッテは松永昂大が予想されている。