17日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージが開幕した。東北楽天・田中将大、千葉ロッテ・成瀬善久の両エースがランナーを出しながらも要所を締める力投を見せる中、4回に銀次の一発で楽天が先制。さらに8回にはマギーのタイムリーで貴重な追加点を挙げ、投げては田中が一度も先頭打者を許さない好投を見せた楽天が完封勝ち。アドバンテージを含めて通算成績を2勝0敗とした。

◇ファイナルステージ第1戦
 銀次、値千金の先制弾!(楽天2勝0敗、Kスタ宮城)
千葉ロッテ    0 = 000000000
東北楽天     2 = 00010001×
勝利投手 田中(1勝0敗)
敗戦投手 成瀬(0勝1敗)
本塁打  (楽)銀次1号ソロ
 無傷の開幕24連勝という大記録をマークし、チーム初のリーグ優勝の立役者となった田中。一方、度重なるケガに苦しみ、エースとしての仕事を十分に果たせなかった成瀬。日本シリーズ進出がかかるファイナルステージは、対照的なシーズンを送ったエース同士の投げ合いで幕を開けた。

 注目の初回、150キロのストレートでストライク先行で入った田中は、根元俊一に対して早めに追い込み、最後は149キロ、高めにグンと伸びるストレートで空振り三振に仕留めた。次打者の岡田幸文もボテボテのショートゴロに打ち取るも、これを逆シングルで捕った松井稼頭央が送球時に持ち直してしまう。岡田の俊足が勝り、一塁はセーフとなった。2死後、今江敏晃にセンター前ヒットを打たれ、一、二塁となる。初回からピンチとなった田中だったが、角中勝也のサード線に高く上がったバウンドボールを自ら処理し、得点を許さなかった。

 一方、成瀬は1、2番を簡単に打ち取った2死後、四球でランナーを出すものの、最後は元メジャーリーガー、強打者のジョーンズを内角ギリギリのストレートで見逃し三振に切って取り、まずまずの滑り出しを見せた。

 レギュラーシーズンでも序盤に失点の多い田中は2回表にもピンチを迎えた。1死後、ファーストステージ最終戦でチームを勝利に導く先制ソロを放った鈴木大地に二塁打を打たれると、続く清田育宏の打球はサードへの強襲ヒットとなり、一、二塁となる。しかし、ランナーを背負ってから本領発揮するのが田中だ。里崎智也への4球目、内角に食い込むシュートはバットをへし折り、ボテボテのショートゴロに。6−4−3のダブルプレーでピンチを凌いだ。

 徐々にエンジンがかかってきた田中は、3、4回を3者凡退に切ってとる。すると、そのエースの好投に応えるかのように4回裏、先頭の銀次が成瀬の内角高めのストレートをライトスタンドへ運び、楽天が待望の先取点を挙げた。さらに続くジョーンズが好走塁を見せて二塁打とすると、続くマギーのショートへのゴロは内野安打となり、無死一、二塁となる。楽天は一気にたたみかけられるか。

 ここで星野仙一監督は、シーズン通り舛田慎太郎に送りバントではなく、強攻を命じた。しかし、これが凶と出る。舛田はショートゴロに倒れ、4−6−3のダブルプレーで2死に。この間にジョーンズは三塁へ進むも、松井は空振り三振に倒れ、楽天は流れを引き寄せ切ることができなかった。

 ピンチを最少失点で凌いだロッテは5回表、2死から里崎がヒットを放つと、根元は粘って四球で出塁し、2回以来、久々にランナーをスコアリングポジションに置いた。しかし、岡田がショートゴロに倒れ、またも得点のチャンスを逃した。

 両者ともにタイムリーが生まれず、試合は楽天1点リードのまま、終盤へと入った。8回表、楽天に守備のミスが出る。1死後、岡田の打球をショートの松井がバウンドを合わせることができず、後逸してしまう。しかし、ここでもエースは慌てることはなかった。次打者の井口資仁を空振り三振に切ってとると、続く今江をライトフライに。ベテランのミスをしっかりとカバーし、嫌な雰囲気を一掃した。

 するとその裏、楽天は代わったばかりのロッテ2番手のレデズマを攻めたてた。先頭の岡島が内野安打で出塁すると、藤田がこの試合初めての送りバントを決めて1死二塁とした。さらに銀次が粘って四球を選び、1死一、二塁とする。ここでロッテはレデズマを諦め、3番手・西野勇士にスイッチした。ジョーンズは空振り三振に倒れるも、マギーは西野のフォークボールを完全に見極めて3ボールとバッティングカウントとした後の6球目、待っていたストレートを完璧にとらえてレフト前へ。二塁ランナー岡島が一気にホームへ返り、貴重な追加点を挙げた。

 この日の田中には2点で十分だった。9回表、まずは角中勝也をセカンドゴロに打ち取ると、サブローは落差のあるスプリットで空振り三振に。そして最後は鈴木をわずか2球で2ストライクに追い込むと、150キロのストレートで3球三振を狙いにいく。これはファウルにされるも、最後は自ら「今日一番のボール」と言った151キロのストレートを投げ、見逃し三振という最高のかたちで締めてみせた。田中はロッテ打線に7安打を打たれ、何度もランナーを出すものの、一度も先頭打者を出さなかったことが完封につながった。

 これでリーグ優勝チームに与えられるアドバンテージを含めて2勝とした楽天は、また一歩、初の日本シリーズ進出に近づいた。明日の第2戦に勝てば、CS突破に王手がかかる。