18日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第2戦が行われた。東北楽天・則本昂大、千葉ロッテ・グライシンガーの両先発の好投が続き、終盤まで1点を争う投手戦となった。7回にロッテがラッキーなかたちで先制したが、楽天がジョーンズの一発で土壇場で同点とし、試合は延長戦へ。その延長戦で楽天のリリーフ陣を打ち崩したロッテが逃げ切った。これで通算成績は楽天の2勝1敗となった。

◇ファイナルステージ第2戦
 先発則本が好投も、リリーフ陣が総崩れ(ロッテ1勝2敗、Kスタ宮城)
千葉ロッテ    4 = 0000001003
東北楽天      2 = 0000000011 (延長10回)
勝利投手 内(1勝0敗)
敗戦投手 金刃(0勝1敗)
本塁打  (ロ)ブラゼル1号ソロ
       (楽)ジョーンズ1号ソロ、聖澤1号ソロ
 前日、完封勝ちという最高のスタートを切り、連勝して一気に日本シリーズ進出に王手をかけたい楽天はルーキー則本に先発を託した。則本は根元俊一、岡田幸文と俊足の2人を内野ゴロに打ち取ると、続く井口資仁を空振り三振に切ってとり、きっちりと3人で終わらせた。

 一方、ロッテの先発は相次ぐ故障で苦しいシーズンを送り、9月15日に右肩痛で登録を抹消され、この日再登録されたばかりのグライシンガー。そのグライシンガーの初球、ほぼど真ん中に入ってきたストレートを岡島豪郎がレフトへ運び、出塁する。さらに藤田一也が送りバントを試みると、一塁にベースカバーに入るのが遅れたセカンド根元が、キャッチャー里崎智也からの送球をこぼしてしまう。無死一、二塁とした楽天は、銀次がきっちりと送りバントを決めて、1死二、三塁とチャンスを広げた。

 打席には強打者のジョーンズ。先制して主導権を握りたいところだったが、ジョーンズの三塁線を襲うライナー性の打球をロッテのサード今江敏晃が好捕し、すぐさま三塁ベースをタッチ。飛び出していた岡島もアウトにし、ダブルプレーを成立させてピンチを凌いだ。

 その今江が2回表、内野安打で無死から出塁すると、角中勝也が送りバントを決めて、1死二塁とした。しかし、ここは則本がエース田中将大に劣らない気持ちを前面に出した熱投を披露。サブローを強気のストレートで空振り三振に切って取ると、鈴木大地には一転、全球変化球で攻め、ライトフライに打ち取った。

 4回裏、楽天が久々にチャンスを迎えた。先頭の藤田がヒットで出塁すると、1死後、ジョーンズのヒットで藤田が一気に三塁へ進み、一、三塁とした。打席には前日の第1戦で貴重なダメ押し点となるタイムリーを放ったマギー。しかし、グライシンガーの高めに抜けたチェンジアップにバットが出てしまい、一塁へのファウルフライに倒れた。さらに舛田慎太郎もグライシンガーの内角攻めに苦戦し、粘りは見せたものの、最後は内角高め、見送ればボールのストレートを振らされ、空振り三振に終わった。

 5回表、ロッテは先頭の角中が久々のヒットで出塁すると、伊東勤監督は前日の第1戦から5打席連続無安打のサブローに送りバントを命じた。しかし、サブローは2球続けて打球を上げてしまい、2ストライクと追い込まれる。ここで強攻に切り替えたものの、最後は外角高め、見送れば完全にボールの変化球に手が出てしまい、空振り三振に倒れた。後続も続かず、結局この回もロッテは得点を奪うことができない。その裏、楽天も無得点に終わり、5回までゼロ行進が続いた。果たして、先取点はどちらが、どんなかたちで奪うのか――。

 ようやく均衡が破れたのは6回表だった。ロッテ打線がそれまでわずか2安打に抑えられていた則本をとらえ、井口、今江と連打を浴びせて無死一、三塁と、この試合最大のチャンスを迎えた。これを逃すまいと、1死後、伊東監督は2三振のサブローに代えてブラゼルを打席に送った。この代打策がロッテに流れを引き寄せることになる。

 結果的にこの打席で、ブラゼルはピッチャーゴロに終わる。しかし、マウンド上で跳ね返った打球を則本がグラブに収めることができず、ボールがセカンドベース方向へと転がっている間に、三塁ランナー井口が先制のホームを踏んだ。思わぬかたちで失点を喫した則本だったが、すぐに気持ちを切り替えて次打者の鈴木を内野ゴロに打ち取り、最少失点で食い止めた。

 その裏、ロッテは2番手カルロス・ロサにスイッチした。そのロサに対し、楽天は2死ながらもランナーを三塁まで進め、一打同点のチャンスをつくった。しかし、嶋基宏が初球から打ちにいく積極的なバッティングを見せるも、内野ゴロに倒れてランナーを返すことができなかった。

 8回表、続投の則本は全く集中力を切らすことなく、気持ちのこもったピッチングで清田、里崎といずれも一発のある強打者を連続で空振り三振に仕留めると、根元をセンターフライに打ち取り、きっちりと3人で攻撃を終わらせた。その裏、ロッテは楽天との相性の悪さを考慮したのか、本来なら抑えのはずの益田直也をここでマウンドに上げた。その益田が先頭の聖澤諒を四球で出してしまう。しかし、次打者の岡島をセカンドゴロに打ち取り、4−6−3のダブルプレーに仕留めた。次打者の藤田もセカンドゴロに打ち取り、自ら招いたピンチを凌いだ。

 9回表、好投を続けてきた則本だったが、疲労が出てきたのか、このイニングではミスが相次ぐ。1死後、井口を死球で出すと、次の今江の打席でボークを取られ、ランナーを二塁へ進めてしまう。しかし、ここも則本は踏ん張る。今江を見逃し三振に切って取ると、角中にはとらえられた強い当たりを打たれるも、則本の強い気持ちが勝ったのか、打球はファースト銀次の真正面へ。この日4度目の3者凡退に切って取り、あとは打線の援護を待つばかりとなった。

 その裏、ここまでルーキーの好投に応えられずにいた楽天打線だったが、この土壇場でリーグ王者の意地を見せる。1死後、ジョーンズがこの回からマウンドに上がった4番手・内竜也の初球、外角高め、甘く入った変化球を完璧にとらえ、楽天打線が待ち受けるレフトスタンドへ。主砲の一振りで楽天が追いつき、試合は今プレーオフ初の延長戦へと入った。

 しかし、楽天ファンが喜んだのも束の間だった。10回表、楽天の星野仙一監督はブラゼル、鈴木と続く左打者への対策として、2番手にサウスポー金刃憲人をマウンドに上げた。だが、その金刃は期待を裏切るピッチングとなった。金刃はブラゼルに対し、外一辺倒で攻める。その結果、変化球がやや甘く中に入ったところをブラゼルにとらえられた。打球はロッテファンが詰めかけるライトスタンドへ。再びロッテが1点を勝ち越した。

 金刃は続く鈴木にもヒットを打たれ、1死も取れずに降板を余儀なくされた。3番手には小山伸一郎が上がった。その小山から清田がヒットで続き、里崎が送りバントを決めて、1死二、三塁となったところで、これ以上1点もやれない楽天は4番手・長谷部康平にスイッチした。だが、その長谷部も期待に応えられなかった。前日からヒットのなかった根元に走者一掃のタイムリーを打たれ、ロッテのリードが3点に広がった。

 打線から大きな援護をもらった内は、その裏、簡単に2死を取る。楽天も意地を見せ、聖澤の一発で1点を返したものの、時既に遅しという感は否めなかった。最後は内が岡島を内野ゴロに打ち取り、ロッテが逃げ切った。結局、最後まで打線がつながらなかった楽天に対し、打線の復調の兆しが見せ始めたロッテが接戦を制した。