18日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦が行われた。試合は広島が初回に梵英心のタイムリーで先制。巨人は3回に阿部慎之助の同点打で追いつくと、4回に坂本勇人の適時打で逆転した。5回にも1点を加えた巨人は、投げては先発の杉内俊哉が7回1失点の好投を見せた。残りのイニングをスコット・マシソン、西村健太朗とつなぐ盤石の投手リレー。2点のリードを守り切った巨人が3連勝し、レギュラーシーズンのアドバンテージと合わせて4勝となり、2年連続の日本シリーズ進出を決めた。クライマックスシリーズのMVPには、第2戦で完封勝利をあげた菅野智之が選出された。

◇ファイナルステージ第3戦
 阿部、技ありの同点打含む2本の適時打(巨人4勝0敗、東京ドーム)
広島   1 = 100000000
巨人   3 = 00111000×
勝利投手 杉内(1勝0敗)
敗戦投手 野村(0勝1敗)
セーブ   西村(2S)
「昨年よりもこのチームは強い」。2年連続の日本シリーズ進出を決めた巨人の原辰徳監督は胸を張った。40年ぶりの日本一連覇を目指す巨人が3連勝、初出場のCSで勢いに乗っていた広島に寄せつけなかった。

 しかし、初回は苦しい立ち上がりだった。制球の定まらない先発の杉内。先頭の丸佳浩を歩かせてしまう。リーグ犠打王の菊池涼介がバントできっちり送られり、得点圏にランナーを許した。この日、3番に入った梵を苦手としている杉内は、初球をセンター前に弾き返された。二塁ランナーの丸は俊足を生かし、三塁を蹴りホームイン。あっさり先制を許した。4番のキラ・カアイフエは抑えたものの、つづく小窪哲也の2球目、梵のスチールで二塁を奪われる。リーグトップの犠打、盗塁数を誇る広島がらしさを見せて杉内に襲いかかる。ここは杉内が小窪を見逃し三振に切ってとり、最小失点で抑える。

 そして2回が終了すると、広島はベンチ前で円陣を組んだ。杉内が調子を上げる前に叩いておきたい狙いもあったのだろう。その効果が早速表れたのか、1死後に丸が二塁打を打ち、チャンスを作った。しかし、杉内は菊池を見逃し、梵を空振りの三振に奪い、追加点を許さなかった。

 先発左腕の力投に打線が応えたの3回裏だった。野村祐輔から長野久義、寺内崇幸が連打を浴びせ一、二塁のチャンスメイク。バッターボックスには今季32本塁打、91打点の阿部が入った。阿部は1−1の並行カウントから低めのカーブを巧くすくった。打球はセンター前に落ち、長野が還った。技ありの一打で巨人が同点に追いついた。

 さらに攻め手を緩めない巨人は4回裏、四球でホセ・ロペスが出塁した。続くバッターは坂本。第1戦では同点弾を放ったものの、いまだに調子が上がらず、この日は7番まで打順を下げていた。ここで巨人ベンチが仕掛ける。3−1からの5球目、ロペスがスタートを切る。ヒットエンドラン――。坂本は野村の甘く入ったストレートを弾き返した。打球が左中間を深々と破る間に、一塁ランナーのロペスは迷わず三塁を蹴る。ロペスがホームベースを踏み、巨人が勝ち越しに成功した。

 5回裏、この回から登板の広島2番手・横山竜士から長野がヒットで出ると、寺内が犠打でつなぐ。これ以上の失点は防ぎたい広島の野村謙二郎監督は、横山に代え、ベンチ入り唯一の左腕・久本祐一をマウンドに送った。“左殺し”の任務を与えられた久本だったが、阿部にストレートをライト前に運ばれ、リードを広げられた。

 打線から援護をもらった杉内は勢いに乗る。4回から7回までの打者16人に対し、1人のランナーも出さないをパーフェクトピッチング。終わってみれば、原監督が「最高にいいピッチング」と絶賛する内容。7回2安打1失点と、先発の役割を十二分に果たした。昨季は肩の違和感からポストシーズン登板なしに終わっていた悔しさを晴らすかたちとなった。

 8回からは、指揮官が「おごることのない頼もしいリリーバーたち」と評した鉄壁の救援陣が出番だ。今季6回終了時点でリードしていれば、勝率9割5分2厘。何度となく相手の逆襲の芽を摘んできた。2番手のマシソンは広島の代打攻勢にも、持ち前の剛速球で無失点に抑える。最終回はクローザーの西村がマウンドへ向かった。今季42セーブをあげた守護神は菊池、梵、キラを三者凡退に切って取り、試合を締めくくった。

「夏頃からの勢いは非常に脅威に感じていた」と、原監督が警戒していた相手に3連勝とほぼ危なげなかった。昨季は3連敗からの4連勝と、辛くも勝ち上がったファイナルステージだったが、同じ轍は踏まなかった。今季はしっかりと調整し、きっちり合わせてきた。日本一連覇までは、あと4勝。「最後の山、必ず日本一を獲る」。東京ドームに詰めかけたファンに誓った。26日開幕の日本シリーズで、パ・リーグのファイナルステージの勝者を迎え討つ。