19日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第3戦が行われた。2回に嶋基宏のタイムリーで2点を先制した楽天。3回以降は追加点を奪えなかったが、先発・美馬学が4安打完封の快投で、この2点を守り切った。ロッテは中盤までチャンスをつくりながら得点することができず、6回以降は美馬に無安打に封じられた。これで通算成績を3勝1敗とした楽天が日本シリーズ初進出に王手をかけた。

◇ファイナルステージ第3戦
 嶋の先制タイムリーが決勝点に(楽天3勝1敗、Kスタ宮城)
千葉ロッテ    0 = 000000000
東北楽天      2 = 02000000×
勝利投手 美馬(1勝0敗)
敗戦投手 古谷(0勝1敗)
 前日の第2戦をロッテが制し、ファイナルステージの行く末はまったくわからなくなった。それだけに第3戦は、どちらに流れが傾くのかを占う意味でも重要な試合となった。果たしてリーグチャンピオンの楽天が日本シリーズ進出に王手をかけるのか。それとも3年前の下克上の再来を狙うロッテがタイにもちこむのか。

 右ヒジの関節炎で登板間隔が空き、中14日での登板となった楽天先発の美馬学。立ち上がりが気になるところだったが、初回はきっちりと3人で終わらせ、幸先よいスタートを切った。一方、埼玉西武とのファーストステージ初戦以来となる登板となったロッテ先発の古谷拓哉も初回は3者凡退とし、無難な立ち上がりを見せた。

 先に先制のチャンスをつかんだのはロッテだった。2回表、1死後、角中勝也が両チーム初のヒットで出塁すると、ブラゼルは空振り三振に倒れるも、鈴木大地がヒットでつなぎ、2死一、二塁とした。しかし、ここは美馬が踏ん張る。ファイナルステージでは連日ヒットを放っている清田育宏をライトフライに打ち取り、得点を許さなかった。

 ピンチのあとにチャンスあり。その裏、楽天は2死無走者から枡田慎太郎が死球で出塁すると、第1、2戦では快音が聞かれなかった松井稼頭央が今シリーズ初安打を放ち、一、三塁とした。ここで嶋基宏が三塁線への強襲安打を放つと、三塁ランナー枡田に続いて、一塁ランナー松井も生還。嶋にとってはチャンスで打てなかった前日の屈辱を晴らす2点タイムリーとなった。

 ロッテは3回表もランナーをスコアリングポジションに置きながら、あと1本が出ず、得点を奪うことができない。逆に打線から大きな援護をもらった美馬は、テンポがよくなり、4回表はわずか7球で3者凡退に仕留めた。その後も、美馬はコーナーを丁寧に突く巧みなピッチングでロッテ打線を封じた。

 5回裏、1死から嶋の強い当たりをファースト井口が痛恨のトンネル。さらに聖澤諒のフラフラッと上がった打球がレフト線ぎりぎりに落ちるテキサスヒットとなる。岡島豪郎はピッチャーゴロに倒れるも、この間にランナーがそれぞれ進み、2死二、三塁と楽天にとっては追加点のチャンスとなる。しかし、ここは古谷が踏ん張る。藤田一也をセンターフライに打ち取り、チームメイトのエラーをカバーするかたちでピンチを凌ぎ切った。

 しかし6回裏、先頭の銀次にヒットを打たれたところで、古谷は降板となる。2番手には西野勇士が起用された。その西野はジョーンズを空振り三振に切って取るも、マギーを四球で出してしまう。枡田をセンターフライに打ち取るも、松井も四球で出し、2死満塁とピンチを招いた。打席には先制のタイムリー二塁打を放っている嶋。その嶋の打球はワンバウンドでショートへ。ロッテのショート鈴木が逆シングルで捕って二塁へジャンピングスロー。一塁ランナーを刺し、楽天に追加点を許さなかった。

 楽天は3回以降、毎回のようにランナーを出しながらも、追加点を奪うことができなかった。しかし、この日の美馬は初戦の田中将大と同様、2点で十分だった。6回以降は1本もヒットを許さず、ロッテ打線を完璧に封じた。そして迎えた9回表、美馬は井口に四球を与え、この試合初めて先頭打者を出す。四球から崩れることの少なくない美馬だったが、この日はその心配は全くの無用だった。次打者の今江敏晃をセカンドゴロに打ち取り、4−6−3のダブルプレーで2死を取ると、最後は角中をレフトフライに打ち取り、リードを守り抜いた。美馬はロッテ打線を散発4安打に抑え、プロ初の完封勝ちを収めた。バッテリーの活躍で接戦を制した楽天が通算成績を3勝1敗とし、前日に無傷の3連勝でファイナルステージを突破した巨人が待ち受ける日本シリーズ進出に王手をかけた。