小久保裕紀新監督率いる野球日本代表が8日、台北・新荘球場で台湾代表と対戦し、4−2で初陣を飾った。2−2の同点の6回、秋山翔吾(埼玉西武)の犠牲フライと、平田良介(中日)のタイムリー二塁打で2点を勝ち越す。このリードを継投で守りきった。日本は9日も同球場で台湾と対戦する。

 秋山、勝ち越し犠飛含む2打点(台北・新荘)
日本代表        4 = 000022000
台湾代表        2 = 100010000 
(日)小川−○大野−井納−S益田
(台)王躍霖−●羅国華−羅華韋−鄭凱文−陳敏賜−羅嘉仁
 指揮官も42歳、全員が27歳以下と若いジャパンが白星で船出した。

 初戦の先発を任されたのは新人ながら、今季のセ・リーグで最多勝のタイトルを獲得した小川泰弘(東京ヤクルト)。しかし、立ち上がりはコントロールが乱れた。先頭打者にヒットを許すと、3番の陽岱鋼(北海道日本ハム)らは三振に仕留めて2死を奪ったものの、4番の陳俊秀をフルカウントから四球で歩かせる。続く蒋智賢には初球をライト前へ運ばれて初回に1点を失った。

 打線は1番・岡島豪郎、3番・銀次、8番・嶋基宏と、日本一に輝いた東北楽天の選手たちをチーム同様の打順に配置するオーダーで臨んだ。そして4番には第3回WBCを経験した中田翔を起用したものの、米マイナーリーグに所属する台湾先発右腕の王躍霖の前に4回まで2安打に封じ込められる。

 ようやく反撃を開始したのは5回だ。パ・リーグ打点王の浅村栄斗(埼玉西武)が初球をとらえ、二塁打で出塁。続く秋山も初球打ちで一塁線を破る。浅村が還り、わずか2球で同点に追いついた。さらに1死後、嶋がセンター返しのタイムリーを放つ。日本は集中打で2−1と逆転し、王躍霖をKOした。

 しかし、その裏から登板した日本の2番手・大野雄大(中日)が同点に追いつかれる。先頭打者への四球から、2死後、9番の羅国龍にレフト線へ運ばれた。一塁走者が一気に生還し、試合は2−2の振り出しに戻る。

 ただ、一度動き出した試合の流れは止まらない。直後の6回表、相手の内野陣が連続エラーを犯し、思わぬかたちで無死一、三塁の好機が巡ってくる。1死後、打席に入ったのは5回にタイムリーを放っている秋山だ。昨年のキューバ戦で代表を経験している若武者はきっちりライトへ勝ち越しの犠牲フライを打つ。

 続く梶谷隆幸(横浜DeNA)の打順で小久保監督は代打で平田を起用。この采配が見事に的中する。平田はライトの頭上を破る二塁打で、日本は4−2とリードを広げた。

 点を取り合う展開を落ち着かせたのが、日本の強みである投手力だ。登板直後に1点を失った大野は6回からは立ち直り、7回までスコアボードに0を入れる。8回は井納翔一(横浜DeNA)がすべてのアウトを三振で奪う好投。そして9回は千葉ロッテの守護神・益田直也(千葉ロッテ)が危なげなく3人で切って取り、ウイニングボールを小久保監督にプレゼントした。