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三河・比江島、MVP! ~B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18~

(写真:スピーチ中に目を潤ませる比江島。この後、涙を堪えることはできなかった)

 29日、男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」の年間表彰式「B.LEAGUE AWARD SHOW2017-18」が東京・恵比寿ガーデンプレイス・センター広場で開催された。最優秀選手賞(MVP)にはリーグ最高勝率を記録したシーホース三河のエース比江島慎が輝いた。リーグ戦のベスト5には比江島の他、富樫勇樹(千葉ジェッツ)、田中大貴(アルバルク東京)、ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)、金丸晃輔(シーホース三河)が選ばれた。

 MVPに選ばれたのは2年連続のファジーカスではなく、B.LEAGUE王者のエース田中でもなく、断トツの得点王ダバンテ・ガードナー(新潟アルビレックスBB)でもなかった。三河のエース比江島が、「まさか」と驚く受賞だ。

 

 レギュラーシーズン1試合平均12.9得点、同4.1アシストを挙げた。万能型スコアラーは文字通り、リーグNo.1の勝率(8割)、得点力(1試合平均84.6得点)をマークした三河の攻撃を牽引。チャンピオンシップ(CS)はファイナルに辿り着くことはできなかったが、2年連続でベスト4入りに貢献した。

 

 表彰式ではサプライズで兄や小中高の恩師へのインタビュー映像が流れた。受賞に際し、比江島はこうスピーチを述べた。

「すべての指導者にいろいろなことを教わりました。いろいろな経験をしてここに立てていると感謝しています」

 

(写真:昨シーズンのJリーグMVP川崎Fの小林と並んで記念撮影)

 今年4月には母親を亡くした。「大変なことがあったんですが……」とスピーチの途中の涙ぐむ場面も。会場からは「比江島頑張れ」とエールが飛んだ。「みんなが支えてくれたので、ここまでこれた」と改めて感謝した。

 

「この賞に恥じないようにB.LEAGUEを知らない人もワクワクするプレーを続けていきたい。もっと成長して納得してもらえる選手として、AWARD SHOWに帰ってきたいです」

 比江島は日本代表のエースとしてオリンピック出場を目指す。代表選手にオフはほぼない。間もなく代表活動がスタートする。

 

 3日前にファイナルを制したばかりのアルバルク東京は、田中がベスト5、ルカ・パヴィチェヴィッチHCが最優秀ヘッドコーチ賞、馬場雄大が新人賞を獲得した。チームを代表して表彰式に登壇したキャプテンの正中岳城は「8年間キャプテンをしてきて、(入団)11年目にこういう席に出られて非常にうれしい」と喜んだ。

 

 正中は優勝トロフィーを背に壇上でスピーチした。

「2代目チャンピオンとして先日トロフィーを掲げましたが、本当に重たいトロフィーでした。これはいろんなチームがこのトロフィーのためにしんどい練習を重ね、いろいろなものを犠牲にして向かっている。そういう思いが詰まっているからこそだったと思います」 

 

(写真:表彰式に出席したパヴィチェヴィッチHC<中央>と正中<右>)

 パヴィチェヴィッチHCは最優秀ヘッドコーチ賞を「光栄です」と喜び、「慣れていないスタイル、コーチングによく信じてついてきてくれた」と選手たちを称えた。厳しい指導で知られる熱血漢は就任1年目でリーグチャンピオンの栄冠を掴み取った。

 

 キャプテンの正中は指揮官について「勝利に対して貪欲で、そのためには骨の折れるプロセスを経ないと勝つことはできないと思っている。妥協を許さない。しんどいこともやり続けることでタイトルに近付けるという思いにさせてくれるコーチ」と語った。

 

 名門クラブが掴んだリーグ王者の称号。正中は「そのトロフィーを持った者として、また2代目チャンピオンのアルバルク東京の一員として、これからもリーグの発展、バスケット界の発展に向けた取り組みを進んでやっていきたいと思いますので、今後共バスケット界、リーグをよろしくお願いいたします」と締めくくった。

 

 B.LEAGUEは盛大な表彰式を経て、2年目のシーズンの幕を閉じた。大河正明チェアマンは「1シーズン目は派手な演出をして、勢いに任せて突っ走りました」と振り返る。今シーズンはB1・B2合計観客動員の10%増加を目指した。ファイナルは昨年を上回る1万2005人を集めた。終わってみれば今シーズンは通算250万2931人を記録。昨シーズンから11.8%増やし、目標を達成した。

 

 大河チェアマンは「ホップステップジャンプのシーズンにしたい」と来シーズンの飛躍を誓った。平日開催の試合を増やす予定だという。「仕事帰りフラッと観に来る国民的なスポーツにしたい」と意気込んだ。

 

 主な受賞者は次の通り。

 

【リーグ戦最優秀選手賞】

比江島慎(シーホース三河) 初

 

(写真:ベスト5は昨シーズンと同じメンバーが選ばれた)

【リーグ戦ベスト5】

富樫勇樹(千葉ジェッツ) 2年連続2度目
田中大貴(アルバルク東京) 2年連続2度目
ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース) 2年連続2度目
金丸晃輔(シーホース三河) 2年連続2度目
比江島慎(シーホース三河) 2年連続2度目

 

【ベストディフェンダー賞】

橋本竜馬(シーホース三河) 初

 

【ベスト6thマン賞】

藤井祐眞(川崎ブレイブサンダース) 初

 

(写真:大学4年の飛び級でリーグ入りを果たした馬場は新人賞)

【新人賞】
馬場雄大(アルバルク東京)

 

【最優秀ヘッドコーチ賞】

ルカ・パヴィチェヴィッチ(アルバルク東京) 初

 

【得点王】

ダバンテ・ガードナー(新潟アルビレックスBB) 28.7点 初

 

【リバウンド王】

ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース) 10.9リバウンド 初

 

【ベストフリースロー成功率賞】

金丸晃輔(シーホース三河) 93.2% 2年連続2度目

 

【アシスト王】

宇都直輝(富山グラウジーズ) 7.7アシスト 2年連続2度目

 

【ベスト3ポイント成功率賞】

喜多川修平(琉球ゴールデンキングス) 41.7% 初

 

【スティール王】

マイケル・パーカー(千葉ジェッツ) 1.9スティール

 

【ブロック王】

ハシーム・サビート・マンカ(横浜ビー・コルセアーズ) 2.3ブロック

 

(写真:北海道は“松島劇場”と呼ばれたパフォーマンスで会場を盛り上げた)

【BREAK THE BORDER賞】

レバンガ北海道

 

【ベストタフショット賞】

ハッサン・マーティン(琉球ゴールデンキングス) ※4月7日の川崎ブレイブサンダース戦(沖縄市体育館)

 

(文・写真/杉浦泰介)