軽い脳梗塞の兆候で入院治療を行っていたエディー・ジョーンズ日本代表HCが29日、日本ラグビー協会で会見を開き、退院の報告と今後の強化方針を発表した。約1カ月の入院を経て、23日に退院したジョーンズHCは足取りもしっかりしており、会話も明瞭にできる状態。「2015年W杯まで(就任から)半分の時間が過ぎた。これからまだまだやることはたくさんある。そのために邁進していきたい」と目標のトップ10入りへ強い意欲を示した。
(写真:時折ジョークも交えながら、30分にわたって自身の状態や代表の課題を語った)
 元気いっぱいでジャパンの指揮官が帰ってきた。
 ジョーンズHCが頭痛や歩きにくさを訴え、入院したのは、ニュージーランド代表戦(11月2日)と欧州遠征(3日〜25日)に臨む代表発表を前日に控えた10月15日。当初は左の手足に軽度の運動障害を起こし、代表の指揮をスコット・ワイズマンテルHC代行に託すかたちになった。

 とはいえ、入院中も病室内にパソコンを持ち込み、代表戦を映像でチェック。試合の出場メンバーもワイズマンテルHC代行と相談して決めるなどジャパンのことは片時も頭から離れなかった。「非常にフラストレーションを感じた。コーチしたいという気持ちでいっぱいになった」とジョーンズHCは入院生活を振り返る。

 幸い、症状は順調に回復し、現時点では特段、医師から生活面での制限はない状態という。しびれや麻痺などの後遺症を心配する声にも「しびれるのはラグビーを見る時だけ」と冗談を飛ばし、報道陣を笑わせた。同席した岩渕健輔代表GMも「これまで通り、いや今まで以上の状態」と健康に不安がない点を強調。引き続きジョーンズHCが代表を率いることを明言した。

「2年間で、ランキングが下の国には勝てている。今後はフィジーやトンガ、イタリアといった格上の相手に勝っていくことを目指す」
 2年後のイングランドW杯へ、指揮官はこの先の目標を掲げた。そのための課題も明確だ。指揮官は「ポゼッションを高めること」「フィットネスの強化とスピードアップ」「ディフェンスでのハイボールへの対処」の3点を強化ポイントに設定した。

 代表として再び動き出すのは来春になる。「もう1分1秒も無駄にできない。アタック、ディフェンスをともに成長させていかないといけない」とジョーンズHCの口調は熱かった。しばしの休息を経て、よりパワフルになった名将の下、2014年はジャパンウェイを一層、加速させる1年となる。