11日、日本サッカー協会(JFA)は、リオデジャネイロ五輪を目指す日本代表チームの指揮を執る手倉森誠監督(現ベガルタ仙台)の就任会見を都内で行った。既にJリーグはシーズンを終えているが、仙台は天皇杯に勝ち残っているため、契約は来年の1月2日からとなる。また会見では、来年1月にオマーンで行われるAFC U-22アジア選手権に出場するメンバーを併せて発表し、DF遠藤航(湘南ベルマーレ)、MF石毛秀樹(清水エスパルス)、MF大島僚太(川崎フロンターレ)ら23名が選出された。今後、U-21日本代表は来年1月5日に集合し、12日からのアジア選手権に臨む。同大会ではGLでイラン、クウェート、オーストラリアの3カ国と決勝トーナメント進出をかけて争う。
(写真:就任会見で意気込みを語る手倉森監督)
「リオ五輪への舵取り。日本国民の期待を背負って一生懸命頑張っていきたいです」。こう手倉森監督は所信表明した。「かなり早い段階からクラブ関係者に当たっていた」というJFA原博実技術委員長は、起用理由を「指導力と人間性」と語った。「若い世代を任せるには一番適任。同じ方向へ一丸となるチームを作ってくれる。目標に向けてまっすぐに進んでいってくれると信じている」と大きな期待を寄せた。

「強いチームを作りたい」という手倉森監督。「日本の特長を存分に発揮できるようなチーム作り。規律正しく組織的だと言われている。そういったものを戦術に取り込めるようにしたい。日本は強豪国とは言えない中で、まだまだ発展途上の選手たちを鍛えなければいけない。まずは攻撃的な守備を構築してやっていきたい」。その先にA代表へとつながっていく道を作ることがメインテーマだという。

 来年からスタートするU-22アジア選手権。第2回の15年大会はリオ五輪の予選を兼ねる。そういった意味でも、手倉森監督体制の初陣となる第1回大会はリオに向けての試金石となるだろう。ただ、手倉森監督はまだ仙台の所属であり、多くの選手を見れているとは言い難い。今回の選考に関しては、技術委員会が中心となって決めた。

 今回の代表メンバーでもクラブでポジションを確保している選手は一握り。試合勘や経験値の少なさに不安が残る。その点については来季から開幕するJ3を利用する考えのようだ。J3にはJリーグやJFLの所属クラブで出場機会に恵まれない若手選抜チーム(U-22)の参戦が決まっており、代表メンバーがこの“恩恵”にあずかる可能性は高い。

 一方でメンバーリストの中に、エース候補の久保裕也(ヤングボーイズ)、南野拓実(セレッソ大阪)2人の名はなかった。原委員長は、A代表に選出経験のある久保については所属クラブに確認したところ、スイスに残す判断を下した。現状はクラブでスーパーサブ格。1月の時期にチームを離脱することは、選手・クラブ両面において得策ではないということだろう。今季Jリーグヤングベストプレーヤーに輝いた南野は、同時期にU-19日本代表の遠征があるため、選考外。3大会連続でU-20W杯出場を逃していることもあり、そちらを優先したかたちとなった。

 U−22日本代表が始動する1月は、Jリーグにとってはシーズンオフの時期にあたる。天皇杯の結果次第では、ほぼ休みなく合宿に合流しなくてはならない。「一番は選手たちがいいコンディションで来れるかどうかが大切になってくる。彼らが意識高く集合してくれるか。そこから競争は始まっている。やらない選手は置いていくしかない」と、指揮官は厳しい言葉を投げかけた。

 目標のリオ五輪は、その先の東京五輪にもつながる。「リオは東京に向けて大切な大会。前回のベスト4以上の期待もかかり、自国開催では金メダルが求められる。リオは弾みのつくような大会にしたい。そのために若い世代をみっちり鍛え上げる」。指揮官の鼻息は荒い。

<U-21日本代表メンバー23名>

GK
櫛引政敏(清水エスパルス)
杉本大地(京都サンガF.C.)
ポープ・ウィリアム(東京ヴェルディ)
DF
遠藤航(湘南ベルマーレ)
松原健(大分トリニータ)
山中亮輔(柏レイソル)
亀川諒史(湘南ベルマーレ)
西野貴治(ガンバ大阪)
奈良竜樹(コンサドーレ札幌)
川口尚紀(アルビレックス新潟)
植田直通(鹿島アントラーズ)
MF
大島僚太(川崎フロンターレ)
幸野志有人(V・ファーレン長崎)
秋野央樹(柏レイソル)
為田大貴(大分トリニータ)
矢島慎也(浦和レッズ)
喜田拓也(横浜F・マリノス)
石毛秀樹(清水エスパルス)
FW
荒野拓馬(コンサドーレ札幌)
鈴木武蔵(アルビレックス新潟)
金森健志(アビスパ福岡)
中島翔哉(東京ヴェルディ)
浅野拓磨(サンフレッチェ広島)