23日、大学団体日本一を決める「全日本学生柔道優勝大会」初日が東京・日本武道館で行われた。5人制女子決勝は山梨学院大学が龍谷大学を2対1で下し、5年連続9度目の優勝を決めた。同3人制は早稲田大学が3連覇を達成した。男子は1回戦のみが開催。2回戦以降は24日に実施される。

 

 女王の座は揺るがなかった。山梨学院大は史上最多となる連続優勝記録を5に伸ばした。

 

 女子5人制は点取り式トーナメント戦で行われる。各選手の配列は先鋒・次鋒が57kg級以下、中堅・副将が70kg級以下、大将が無差別級と定められている。各校の監督によるオーダーの駆け引きも魅力のひとつだ。

 

 山梨学院大は下級生から主力を担ってきた月野珠里、出口クリスタが卒業し、戦力ダウンも予想された。だが泉真央主将、新添左季を中心とした新4年生が奮起した。

 

 龍谷大との決勝戦。先鋒の大和久友佳が引き分け、次鋒の谷川美歩(3年)が合わせ技一本で1ポイントリードする。続く中堅はポイントゲッターの新添。対戦相手の米澤夏帆(4年)とは昨年の準決勝で敗れた因縁がある。

 

 新添は終始、攻めの姿勢を失わない。2分を過ぎたところで、得意の内股で技ありを奪う。そのままの流れで、袈裟固めで抑え込んだ。10秒間、相手を逃さなかった。合わせ技一本。強化してきた寝技で、2点差に広げた。

 

 準決勝で佐藤史織(4年)が負傷したこともあって、副将は瀬戸口栞南(2年)が務めた。瀬戸口は先に技ありを取りながら、龍谷大の冨田彩加(3年)に追いつかれ、大外刈りで一本を取られた。

 

 そして勝負が決まる大将戦。泉が引き分け以上で5連覇が決まる。「“負けたらダメだ”と思う気持ちが強過ぎた」と硬さが見られた。指導2つをもらい、あと1つで反則負け。そうなると代表決定戦までもつれることになる。

 

 ここで泉は踏ん張った。逃げるだけでは指導を受けてしまう。自らも技を仕掛けた。時計の針は着々と進み、タイムアップとなった。この瞬間、山梨学院大の5年連続9度目の優勝が決まった。

 

 山部伸敏監督は「4年生が中心となり、力的にもまとまっていた。力を出してくれると信じていた」と振り返った。「今年はこれが始まり。満足することはない」。10月には全日本学生柔道体重別団体優勝大会を控える。2年連続2冠。女王の視線はそこに向けられている。

 

(文・写真/杉浦泰介)