(写真:エースとして期待を集める桃田。3年前には銅メダルを獲得している)

 19日、第24回世界バドミントン選手権(7月30日開幕、中国・南京)に出場する日本代表選手発表会見が、東京・六本木ヒルズで行われた。会見にはパク・ジュボンHCをはじめ、日本代表25人全員が出席した。パクHCは「ベストな準備し、ベストな結果を出せるように頑張ります」と語り、今大会の目標に「金メダル2個獲得」を掲げた。

 

 近年の活躍が目覚ましい日本バドミントン界。今年5月の団体戦では男子のトマス杯で準優勝、女子のユーバー杯は37年ぶりの世界一に輝いた。昨年の世界選手権(イギリス・グラスゴー)では女子シングルスの奥原希望(日本ユニシス)の金メダルをはじめ、3種目で4個のメダルを獲得した。

 

 グラスゴーでの波には乗れなかったが、昨年5月の復帰以来、調子を上げてきている男がいる。男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)だ。

 

 ここまで国際試合で9割を超える勝率を挙げている。今年は5月のアジア選手権で優勝。トマス杯ではシングルスのエースとして準優勝に貢献した。リー・チョンウェイ(マレーシア)、チェン・ロン(中国)、ビクター・アクセルセン(デンマーク)といった世界の強豪を破り、7月12日時点でのBWF世界ランキングは6位まで浮上した。

 

 直近のBWFワールドツアーではマレーシアオープン準優勝、インドネシアオープン優勝と好調だ。パクHCは「自分の力で優勝できた。運ではなく実力で勝った」と評価した。桃田自身も「自信はなくはないです。3年前の前回は優勝を目標にしていましたが、明確ではなかった」と過去との違いを口にする。とはいえ世界の猛者が集まる大会。男子シングルスは桃田が3年前に獲得した銅メダルが最高成績だ。「勝ちたい気持ちも強いけど、いつも通り」と平常心で臨むことを誓う。

 

 今大会でのキーポイントに桃田は「守り」を挙げた。これは「勝った試合は守れているイメージ」という思いがあるからだ。「相手のウイニングショットを足を動かしてとる。ディフェンスから攻撃に繋げるのが今のスタイル」。以前よりもスタミナが付き、逞しさ、粘り強さは明らかに増した。帰ってきた日本のエースが、またひとつ日本人初の偉業に迫る。

 

(写真:「今ある力を出し切って、世界に挑戦したい」と意気込む奥原)

 日本勢で唯一、今大会連覇に挑戦できるのは奥原である。決勝ではV.シンドゥ・プサルラ(インド)と1時間49分にも及ぶ大熱戦を制した。だが本人は「守るものは何もない」と、きっぱり。あくまでチャレンジャーの姿勢を貫く。
 
 日本人初の世界女王に輝いた奥原だが、その後はケガに苦しんだ。“凱旋試合”となったヨネックスオープンジャパンで古傷が再発。準決勝を棄権し、全日本総合もコートに立つのが精一杯だった。
 
 ユーバー杯は主に山口茜(再春館製薬所)に次ぐ第2シングルスの役回りだったものの、全勝で金メダル獲得に貢献した。直近のワールドツアーではタイオープンを制した。「久しぶりに勝つ感覚を得られた」と約1年ぶりの優勝だった。
 
「フィジカル的には完璧。あとはスキルの問題」と奥原。今は試合勘など感覚を取り戻して段階だ。「結果ばかりを見ていない」と、今大会に向けては勝つことだけを重視していない。
 
 パクHCによれば、女子シングルスの覇権争いはBWF世界ランキング1位のタイ・ツーイン(台湾)が抜けているという。それを奥原、山口ら第2グループが追いかける。組み合わせも決まり、順当にいけば準々決勝でプサルラと当たる。連覇の道は容易くないが、まずは一歩ずつ踏み出していく。

 

【第24回世界バドミントン選手権大会日本代表】

 

・男子シングルス
西本拳太(トナミ運輸)、坂井一将(日本ユニシス)、桃田賢斗(NTT東日本)、常山幹太(トナミ運輸)

 

・女子シングルス
山口茜(再春館製薬所)、奥原希望(日本ユニシス)、佐藤冴香(ヨネックス)、大堀彩(トナミ運輸)

 

・男子ダブルス
園田啓悟&嘉村健士組(トナミ運輸)、井上拓斗&金子祐樹組(日本ユニシス)、保木卓朗&小林優吾組(トナミ運輸)、遠藤大由&渡辺勇大組(日本ユニシス)

 

・女子ダブルス
髙橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)、福島由紀&廣田彩花組(岐阜トリッキーパンダース)、米元小春&田中志穂組(北都銀行)、永原和可那&松本麻佑組(北都銀行)

 

・混合ダブルス
渡辺勇大&東野有紗組(日本ユニシス)、小林優吾&松友美佐紀組

 

(文・写真/杉浦泰介)