昨年、最もプロ野球ファンを沸かせたのが、創設9年目にして悲願の日本一を達成した東北楽天だろう。エース田中将大はパ・リーグMVPなどタイトルを総なめにし、ルーキー則本昂大は新人王に輝いた。その楽天の一員となるのが、西宮悠介だ。貴重な左のリリーフとしての活躍が期待される西宮。「一番の持ち味でもある球威で勝負したい」と語る彼に、プロへの意気込みを訊いた。
―― ドラフト当日は、どんな気持ちで指名の瞬間を待っていましたか?
西宮: チームメイトの岩貞(祐太)が阪神に1位指名されて、その瞬間は自分も本当に嬉しかった。「自分も指名されたらいいな」という気持ちで会議の様子を見ていたのですが、順位がどんどん進むにつれて、不安がよぎり始めたんです。「もしかしたら、このまま呼ばれないかもしれない……」と半ば諦めかけました。だから呼ばれた瞬間、自分では気づかなくて、監督さんに「オマエ、指名されたぞ」と言われて初めてわかりました。

―― 日本一を達成した楽天は、今度はディフェンディングチャンピオンとして連覇を狙うことになります。
西宮: そういう環境でやらせてもらえるのは、光栄なことです。自分もその輪に入っていきたいですね。ただ、一軍というのをあまり意識することなく、まずは目の前のことを一生懸命やりたいと思っています。一歩ずつ段階を踏んでいって、最終的には一軍のマウンドで投げて活躍できるように頑張りたいです。

―― 最大の武器は?
西宮: ボールひとつひとつの球威が武器だと思っています。正直、細かいコントロールはあまりないので、何とか球威でプロのバッターと勝負できたらと思っています。

―― ピッチングで一番意識している点は?
西宮: ボールが抜けてしまうことがあるので、左足で立って、そこから右足へと体重移動する際に、体が開かないようにすることを意識しています。そのためにはヒザが割れないことが重要です。ヒザが割れてしまうと、どうしても身体が開いてしまって、腕が前にいかない状態で投げてしまうので、ボールが抜けるんです。

―― 自分のピッチングの生命線は?
西宮: インコースを攻めるとか、真っ直ぐの球威も大事ですが、それ以上に自分のピッチングではスプリットやスライダーでワンバウンドのボールを振らせられるかどうかが重要だと思っています。ただ、それもインコースへの真っ直ぐが投げられてこそ。真っ直ぐと同じ軌道で曲がれば、バッターも振ってくれるので、基本はやっぱりストレートにあると思います。

 成長させてくれたライバル

 1年春から主戦としてリーグ戦に出場し、新人賞に輝くなど、順風満帆な4年間を過ごしてきたかのように見えるが、実は2、3年時には悩みや苦悩もあった。切磋琢磨してきたチームメイトの成長、そして自分自身の不調……。焦りと不安の中、西宮がつかんだものとは。

―― 1年時は春秋ともに防御率は1点台。2年時も春は0.92、秋は1.67。ところが3年春は4.10でした。
西宮: 不調でしたね。2年の秋が終わって、オフにチームで加圧式トレーニングを導入したのですが、それもあって一冬を越えたら球速が伸びたんです。ところが、逆に打たれるヒットも多くなった。「球が速くなっているのに、なぜ?」という感じでした。

―― 抑えられなかった理由は何だったのでしょう?
西宮: 球速が伸びたことで、逆にスピードにこだわりすぎたところがあったのかなと。スピードに頼り過ぎて、ボールのキレで勝負するとか、ボール球を振らせるとか、そういった自分の持ち味を出せなかったのだと思います。

―― 同級生で同じサウスポーの岩貞選手はどんな存在でしたか?
西宮: 自分を成長させてくれた存在でしたね。特に、岩貞が2年の時に代表に選ばれて、日米大学選手権から帰ってきた時に、「あぁ、こういうところで差が生まれるのかな」と感じました。とにかく、自分も追いつかなくちゃと思ったんです。岩貞はいつもチームの先頭を走ってくれたので、それに自分が置いていかれないようと思ってやってきました。これからチームは違いますが、お互いにチェックし合いながら、これまでのように切磋琢磨していきたいと思っています。

―― プロで投げい合いたい?
西宮: はい、投げ合いたいですね。ピッチングの内容では、絶対に負けたくないです。

 プロで対戦したいバッターを訊くと、「誰とというよりも、全員を牛耳ったる! という感じです(笑)」と勢いよく答えた西宮。180センチ、80キロの恵まれた体格から繰り出される力強い直球で、プロの世界に挑む。

西宮悠介(にしみや・ゆうすけ)
1991年5月1日、茨城県生まれ。小学3年から野球を始め、中学3年から投手に専念する。佐野日大高では1年時からベンチ入り。横浜商科大では1年春からリーグ戦に登板し、リリーフとして10試合に投げて3勝3敗、防御率1.86で新人賞を獲得した。2年春から先発ローテーションに入り、チームの柱となる。リーグ通算成績は52試合に登板し、20勝11敗、防御率1.82。180センチ、80キロ。左投左打。

(聞き手・斎藤寿子)

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