オールスターブレークを挟んで、プロ野球は後半戦へと入りました。セ、パともに熱い戦いを期待したいものです。今回はまず巨人・上原浩治の"トリプル100"の話題から。7月20日、マツダスタジアムの広島戦で今季10ホールド目を記録して、これで日米通算100ホールド。勝ち星(134勝)、セーブ(128セーブ)と合わせて"トリプル100"を達成しました。

 

 1ホールド=何勝換算?

 これはNPBでは初、そしてメジャーリーグでも元ロイヤルズなどで活躍したトム・ゴードン(138勝158セーブ110ホールド)しか達成していません。先発、セットアッパー、クローザーはひとくくりにピッチャーといっても、それぞれ調整、準備の仕方からして異なります。すべての"職場"で結果を残すのですから、投手としての総合力の高さに舌を巻きます。

 

 リリーバーにとっては、ホールドという指標ができたことがモチベーションにはなっています。中継ぎはなかなか評価されにくいポジションですからね。"トリプル100"を伝える記事の中で、「名球会入り条件にホールド追加か」という記述もありました。もし追加となる場合、いくつのホールドを積み上げたら入会条件となるのか、その設定が悩みどころです。

 

 名球会の投手の入会条件は200勝、もしくは250セーブです。現在、通算ホールドトップは宮西尚生(北海道日本ハム)の276(604登板)、2位が山口鉄也(巨人)の273(642登板)です。ホールドは勝ち負けに関係なくつくので、単純にホールド数だけで考えるよりも登板数を加味するのがベターなのかもしれません。たとえば250ホールド・500登板以上という具合です。

 

 リリーバーはずっと中継ぎをやっているわけではなく、クローザーに配置転換されたり、若い投手なら先発転向もあるでしょう。まあ、いぶし銀のワンポイントリリーバーのためを考えれば、名球会基準への追加もありです。ただ、あえていうならば、最多犠打を記録した選手は名球会に入っていませんよね。「ホールドで名球会なら、じゃあ犠打はどうなんだ」ということになるかもしれない。山本浩二理事長は「現役の選手が勇気、目標となる条件を考えたい」と言われているそうですので、今後に注目しておきましょう。

 

 それにしても、暑い……。この猛暑の中、夏の甲子園に向けた地方大会が各地で行われています。京都大会では日中にインターバルを設けて、第3試合、第4試合の開始時間を遅らせる措置をとりました。大英断、非常に柔軟性に富んだ策だったと思います。今年の異常な暑さの中、選手は当然ですが、応援する生徒たちも大変ですよ。

 

 私はBCリーグ・石川ミリオンスターズの役員を務めていますが、リーグの理事会でも「暑さ対策」が話し合われました。デーゲームは行わずになるべくナイター開催とすることなどを話し合いましたが、その他、5回終了時に行っているグラウンドへの散水を2回、3回終了時に前倒しし、さらに回数を増やすなどの案も出ました。

 

 学童野球では給水タイムを設けるなどの策をとっているところもあります。本当に今年の気温は異常ですから、暑さの中で事故が起きないように野球界全体で取り組んでいかないといけないでしょうね。

 

 最後にひとつ告知を。7月30日に東京ドームで、今年もサントリードリームマッチが開催されます。OB選手が大挙して出場するこのゲームは裏オールスターとも呼ばれています。今年も皆さんに楽しんでもらえる"しか毛(仕掛け・笑)"を考えていますので、ご期待ください。

 

image佐野 慈紀(さの・しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商高で甲子園に出場し準優勝を果たす。卒業後に近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日、エルマイラ・パイオニアーズ(米独立)、ロサンジェルス・ドジャース、メキシコシティ(メキシカンリーグ)、エルマイラ・パイオニアーズ、オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。


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