(写真:延長8回タイブレークの末に敗れ、次戦に望みを懸ける)

 11日、第16回WBSC世界女子ソフトボール選手権大会が千葉・ZOZOマリンスタジアムなどで行われた。準決勝は世界ランキング2位の日本代表が同1位のアメリカ代表に3対4で敗れた。ページシステム方式のため、日本は12日に3位決定戦で同3位のカナダ代表と対戦する。この試合の勝者が同日開催のアメリカとの決勝に進む。

 

 二刀流ガルシア、好リリーフ&決勝打(ZOZOマリン)
日本   3 = 20100000
アメリカ 4 = 00201001×(延長8回)
勝利投手 ガルシア(1勝0敗)
敗戦投手 藤田(1勝1敗2S)
本塁打 (日)山本6号2ラン
    (ア)ムンロ3号ソロ、スチュワート1号ソロ

 

 東京オリンピック前哨戦で宿敵に敗れた。日本は前回女王のアメリカに逆転負けを喫した。

 

(写真:135球の力投も報われなかった藤田。判定に泣いた印象も)

「勝つことだけが目的ではない」
 宇津木麗華監督が語るように今大会は2大会ぶりの王座奪還だけがテーマではない。エースの上野由岐子に次ぐ投手の柱、キャプテンの山田恵里と主砲の山本優に続く打線の軸の育成は急務である。

 

「『上野はいないと思って投げなさい』と伝えました」。宇津木監督は先発マウンドに今大会5試合無失点の上野ではなく、藤田倭を送った。ここまで4試合に登板し、1失点。安定した成績を残している。「彼女が成長しないと2020年は難しい」と指揮官も期待を寄せる存在だ。

 

 一方のアメリカは2大会連続11度目の戴冠を狙う。今大会は優勝チームが東京オリンピックへの出場権を獲得できる。アメリカはエースのモニカ・アボットがスターターを任された。

 

(写真:宇津木監督<右>からの信頼も厚い山本。この日も2安打)

 先手を取ったのは日本だった。初回、先頭の山田がヒットで出塁すると、4番の山本がライトへホームラン。アボットの速球を叩き、先制点をもたらした。今大会6本目。3試合連続と絶好調である。

 

 昨日の準々決勝では18奪三振の快投を見せたアボットだが、この日は振るわなかった。3回には市口侑果、山崎早紀に連打を浴びて、マウンドから降りた。

 

 右の山本に対し、右のケリー・バーンヒルをぶつけてきた。山本はセカンドフライに打ち取られた。アメリカベンチはすぐに動き、バーンヒルから左のリケッツを投入。渥美万奈のセカンドゴロの間に1点を追加したが、藤田は空振り三振だった。

 

(写真:2回表には微妙な判定で本塁憤死。流れを持ってこれなかった)

 ここが勝負の分かれ目だったのかもしれない。3回3得点は悪くないものの、細かく繋いだアメリカの継投の前にチャンスで足踏みした印象がある。その後も要所でリケッツをファーストに回し、右のレイチェル・ガルシアをワンポイントで登板させてきた。

 

 すると先発の藤田がオーブリー・ムンロに一発を浴びる。下位打線でも甘い球は逃さない。その後、ピンチの場面でエラーもあり、1点差まで迫られた。なおも1死満塁のピンチ。ここで藤田はゲッツーに打ち取り、踏ん張った。

 

 藤田は4回裏もランナーを出したが、併殺打に仕留めた。力投する藤田。5回裏にケルシー・スチュワートに同点弾を打たれたものの、7回には再び1死満塁のピンチで、3番アリー・アギュラー、4番バレリエ・アリオトを打ち取った。

 

 サヨナラのピンチを凌ぎ、流れは日本に傾くかと思われたが、タイブレークに突入した延長8回に得点は奪えなかった。河野美里がバントで送って、1死三塁のチャンスをつくった。川畑瞳はサードゴロ、洲鎌夏子は空振り三振。勝ち越しを逃し、宇津木監督は「私自身の準備、想像不足」と悔いた。

 

(写真:バッティングでは4打数ノーヒットだった藤田)

 その裏、藤田は2死三塁からガルシアに左中間を破られた。135球の力投は実らずサヨナラ負け。被安打8、与四球は4で3失点だった。際どいコースをボールと判定される不運もあった。
「先取点を獲ってもらったので、なんとか粘りたかった。良い部分もあったので、明日に繋げていきたいと思います。“上野さんだけではない”と強くアピールしたかったが、結果が伴わなかった。自分自身のレベルアップが必要だなと感じました」

 

 勝ったアメリカは決勝に進出。連覇にグッと近付いた。一方の日本は最大で2試合を戦うタフな日程を強いられることとなった。ともかく世界選手権4度目の優勝のためには3位決定戦でカナダに勝たなくてはならない。宇津木監督「アメリカより乗っているチーム」と警戒する相手を倒し、アメリカにリベンジする機会を得たい。

 

(文・写真/杉浦泰介)