12日、なでしこジャパン(女子日本代表、世界ランク3位)はポルトガルで行われている国際招待大会・アルガルベ杯決勝で女子ドイツ代表(同2位)に0対3で敗れた。前半、ともに決定機を迎えたものの得点できず、試合を折り返した。しかし、後半1分、日本はMFケスラーに先制点を許すと、5分にはFWミッタークに追加点を奪われた。さらに16分にはFWマロジャーンにダメ押し点を決められた。日本は1点を返すこともできず、準優勝で大会を終えた。

 前半の決定機生かせず(アルガルベ)
女子日本代表 0−3 女子ドイツ代表
【得点】
[ド] ケスラー(46分)、ミッターク(50分)、マロジャーン(61分)
「これが自分たちの実力、きちんと受け止めていきたい。まだまだ努力が足りないとさらに思い知らされた」
 MF宮間あやはこう語り、完敗を認めた。過去、日本は90分間でドイツに勝利したことがない。その相手に前半は互角の内容だったが、後半に入るとドイツに押し込まれ、次々とゴールを決められた。日本はコンディションの向上など、5月のアジア杯兼15年W杯アジア予選に向けて課題を残した。

 日本は序盤から相手にボールを支配され、守勢を強いられた。23分、ミッタークにPA内左からシュートを許した。38分には、カウンターからシャシッチに右サイドからのクロスを頭で合わせられた。いずれもゴールの枠を外れたが、日本はDFが体を寄せられず、簡単にシュートまで持ち込ませてしまった。

 攻撃では訪れた決定機を生かせなかった。28分、MF川澄奈穂美が右サイドを攻め上がり、PA内に入ったところからシュート。GKが弾いたところに、FW大儀見優季が詰めるが、これは右ポストに阻まれる。跳ね返ったボールをMF澤穂希が押し込んだが、ゴールライン上のDFに当たり、最後はGKに押さえられた。
 前半終了間際にも立て続けにセットプレーのチャンスを迎えたが、得点には結びつけられず、スコアレスのまま試合を折り返した。

 後半開始とともに、日本ベンチはDF有吉佐織に代えてDF近賀さゆり、澤に代えてFW岩渕真奈を投入。近賀は右サイドバック、岩渕は2トップの一角に入り、FW大野忍が左サイドハーフ、宮間はボランチにポジションチェンジした。一方で、ドイツもMFゲースリンクに代えてケスラーをピッチへ。ともに交代策を講じた上で後半に突入した。

 その結果が出たのは日本ではなく、ドイツだった。1分、日本はDFのクリアミスを拾われ、パスを受けたケスラーにPA手前から右足を振り抜かれた。シュートはGK山根恵理奈の手をかすめて、ゴール左上へ決まった。5分には、MFアルシに右サイド深くを突破され、グラウンダーのクロスをミッタークに右足ヒールでゴール左へ流し込まれた。
 なんとか立て直したい日本だったが、ドイツの勢いを止めることができない。16分、マロジャーンにPA外から右足でゴール左下に叩きこまれた。

 その後、大野に代えてFW安藤梢、川澄を下げてFW高瀬愛実を投入し、流れを変えようと試みたものの、ゴールを奪うことはできなかった。

「いい勉強になった。シーズン中のドイツと、シーズン中ではない我々のフィジカル的な差もあった。後半、やはり少し動きも止まりつつある中でミスも多くなった」
 佐々木則夫監督は敗因をこう分析した。いくら技術で勝っていても、フィジカルコンディションで劣れば、時間が経つにつれてどうしても相手よりプレーの質が落ちる。ドイツは、そこを見逃さなかった。

 5月にはアジア杯が控えている。それまでに、各選手がどこまでコンディションを向上させられるか。宮間は「アジアは本当に厳しい戦いなので、誰が呼ばれてもいい準備をしないといけない」と気を引き締めた。今回の敗戦を次に生かせるか。なでしこジャパンの真価が問われる。